中学3年生 : 夏・大会 ページ30
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ガヤガヤと騒がしい市民体育館の中で、北川第一は一際注目を集めていた。
「あれが“コート上の王様”だろ?」という声はもう珍しくない。
影山もそれが褒め言葉じゃないことだと知っているから気分が悪くなっていることだろう。こんな不名誉な異名を広めた勇太郎たちは嬉しいの? やってることは最低だよ。
私に嫌がらせしてくる人たちと、変わらない…。
「美咲、あとはよろしくな」
「うん。2年生〜ドリンク作りお願いした人来てもらっていい?」
「はい！」
階上くんに言われて後ろを振り返る。
「今年は何人にナンパされるのかな」
「ナンパって…無駄口叩いてないで早く行きな」
「はは」
「宮下、ふざけるな」
「はーいごめんなさーい」
毎年声をかけられる私をからかっているのだろう。
2年生3人が目の前に来たところで、私は笑顔を作って案内を始めた。相宮さんには横断幕を頼んである。
「3人はここでドリンク作ってね。公式WUまでにお願い！」
「分かりました！」
「手伝ってくれてありがとう」
「い、いえ…！」
よし、戻ってタオル置いてスコアの準備を──
ボスッ
勢いよく振り向いたせいで強い衝撃が肩に走った。
いて。
「！すまん」
「いえ…私こそ周り見れてなくて、すみません」
「怪我はない?」
「はい…」
真っ黒のジャージ…?
タメ口ってことは…
「大地！何やってんの！」
「悪い、今行く！本当にごめんな。試合頑張って」
「あ、ありがとうございます」
男の人が行った方向を見ると、ジャージに“烏野高校”と書いてあった。やっぱり、高校生だ。
( からすの? )
鳥の名前なんて、すごい名前の高校だな。どこにあるんだろう。
しっかしさすが高校生貫禄あるな〜。
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作者名：かげやま
| 作成日時：2024年3月14日 13時
