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「もう大丈夫なのか」
そんな声が聞こえて後ろを振り返ると、影山が立っていた。
準備やるか〜という時で、今日初めて体調の心配をされたから、危うく影山にきゅんと胸を抜かれるところだった。てか目前まで来てた、矢が。
「へへ」
「なんだよ。大丈夫かって」
「うん、大丈夫」
「ならいいけど。具合悪い時は我慢すんな、絶対言え」
「はぁい…。あ、プリントありがとうね」
「ん」
こんなんだったら勇太郎たちより影山の方に傾いちゃいそうだ。
マネージャーを便利に扱うことに文句は言わないけど、私も人間だから優しくしてもらったら嬉しくなるもん。
それにずっと黙られても困るし…。
明日はいよいよ地区予選だ。
強豪でもある北川第一はここを突破しないと始まらない。
顧問に配られた紙にはトーナメント表が書いてあり、最初の対戦相手は“雪ヶ丘”。
( 初めて当たるところだな )
強豪校はなんとなく目に入ったり耳に入ったり。最後の大会に向けて覚えてきたけど。
「明日の地区予選は通過点に過ぎない。力の入れどころは考えるように」
監督のその言葉が最後、階上くんの大きな声の後、「ありがとうございました！」という声が体育館に響いた。
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「いつの間にか気まずくなってるの、影山から美咲になってるじゃん」
部室に入る直前、そんな声が聞こえて手が止まった。
今の宮下の一言で踵を返すべきだったのに。
「…うるせぇな」
「影山クンに美咲取られちゃうよ?」
「…」
「金田一さぁ、もう無謀な恋はやめて次の恋行きなよ。背高くてその性格なんだからモテないことないでしょ」
それは、私も同意だ。
女の子に話しかけられているみたいだし、私は勇太郎に答えることは一生ない。
そう断言できるのは今の関係がいいから。
今の関係以上を望んでないんだよ。
「やめたくてやめれるもんでもないだろ、こういうのは」
……かっこいいね。
好きになれればいいのに。
…ごめんね。
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作者名：かげやま
| 作成日時：2024年3月14日 13時
