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「影山、あげる」
「あ?」
「調理実習で作ったお菓子」
「…サンキュー」
休み時間。机に伏せて寝てた影山の頭に、ラッピングされたお菓子をポンと当てた。
「今食べていいか」
「いいよ。普通に美味しいと思う」
「…うめぇ」
「来年のバレンタインは、部活で渡せないねー」
「引退してるからな」
「それに受験シーズンだもん」
影山の隣の席の椅子を借りて、机に頬杖をつく。
バリボリ食べてる姿でもまぁまぁイケメンだなぁ。
…もう3年生か。1年生の影山が懐かしいや。
「引退まで半年もないね…」
「ああ。時間はねえ。だからひとつひとつの練習を大事にしねぇと」
「…」
「美味かった」
「はーい、お粗末さまでした。…影山さぁ、もっとチームメイトに寄り添ってみれば?」
「…アイツらが本気でやれば、俺だって」
本気でやらないことを気にしたってしかたないよ。
やらない人はやらないし、それに理由があるかもしれない。
「…お前も俺のこと“王様”って言うのかよ」
「はぁ? 言ってないよ！私は逆に止めてんのに！」
「じゃあもうそういうこと言うな」
「…」
なんだよ。人がせっかく…。
私は椅子を元に戻して自分の席についた。
すぐ怒って会話成り立たなくさせるんだから。
…このまま夏の大会に向けて練習して、どこまで勝てるんだろう?
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作者名：かげやま
| 作成日時：2024年3月14日 13時
