中学3年生 : 春・空気が変わる ページ24
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今年こそ…！マネージャーを！！
そう意気込んだ結果が出た。
「マネージャー希望の、相宮ユリンです」
毎年入部希望が多い男子バレー部で唯一の女子！マネージャー希望！
私は絶対に逃がすまい…という強い意志の元、嬉しい衝動を抑えて相宮さんを大事に大事に扱った。
「で、共有は他の部活も使うの。だから部室は適当にしていいんだけど、ここはあんまり荒らさないようにしてね」
「分かりました」
「……」
い、いい子…！
小さい手でメモを書いてる姿が健気っ…。
今まで性格悪い女しか関わってこなかったから嬉しいな。
「…もしかしたら他の部活の人が相宮さんに嫉妬して嫌がらせをしてくるかもしれない。そしたら、遠慮なく私か部長に言うんだよ」
「はい…。美咲さんは、そういうことされたんですか」
「…うーん、まぁ、それなりに」
「……きっと、その人は美咲さんがかわいいからそうしたんですよね。クラスの子が言ってました。男子バレー部は美男美女しかいないって」
最後の一言に、思わず目を丸くした。
なに、なんて…?
「美咲さんのファンクラブに入ってる人も」
「ファンクラブ!?」
「え、はい。知らなかったんですか?」
「ま、まって、ファンクラブ…?」
及川先輩ですらそんな話は聞いたことないんですが。
私のファンクラブ? 誰に? 求められて??
混乱したまま部活を終えた後、私はみんなに聞いてみた。
「ねえ、私のファンクラブがあるらしいんだけど…」
「…へえ！何それ、そんな面白いのあるの?」
「美咲のファンクラブって」
「とんだ手のひら返しじゃねぇ?」
順に、興味を持ってしまった宮下、吹き出した国見、少し怒ってる勇太郎。
勇太郎の言う通りだ。どこの層に私が好かれているのかは分からないけど私が受けた嫌がらせのことを考えると…。
「美咲！」
「あらら、“王様”がお呼びだよ」
「……その呼び方やめなって」
クスクス笑う宮下の肩を叩いて、影山の元まで走る。
“コート上の王様”。勇太郎たちがふざけてつけた、あだ名。
異名と言えば外面はいい。だけど意味は真逆だ。
「どうしたの」
「…マネージャー希望はどうだった」
「いい子だよ！あの調子なら仕事も早く終わりそう」
「…」
「レシーブ、やるよ」
「ああ、頼む」
( …ずっと険しい顔しちゃって )
影山の居場所を作ろうとはしている。
…している、けど。
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作者名：かげやま
| 作成日時：2024年3月14日 13時
