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影山は勝ちにこだわっているように見える。
北川第一の横断幕にある通り『必勝』を目指して…。
「影山、もう終わりにしなよ」
「…」
「練習試合大変だったでしょ。しっかり休もう」
「…あと、1本」
「それさっきも言ったー」
勝ちに囚われているとも言えるその執着が、他のメンバーとのすれ違いを見せている…。
私は壁に寄りかかって影山のサーブモーションを見つめた。
サーブトス、助走、打つ。
…綺麗。
「…はい終わり。もう暗いから帰ろ」
「…」
「影山！やりすぎはよくない！」
「うるせー…わかったよ」
タオルで顔を拭く影山。その足先は部室へと向かって行った。私はため息をついて影山が打ったボールを拾う。
( 結局、今日も影山しか残らなかったな )
「明日英語の小テストあるの、知ってる?」
「…忘れてた」
「多分影山当たるからやっときなよ」
「どこだ。前の範囲?」
「そう〜。うっ、寒いなぁ」
もう冬になるんだろうな。東北の冬…恐ろしい冬…。
関西の夏も大概なんだけども。
そろそろマフラーつけようかな。
「ん」
「…はい?」
「くっついていいぞ」
「は? え、なにいってんの?」
「俺体温が高いらしくて、よく国見がくっついてくる」
「ああ…なんかよく暖とってたっけ…」
「ほら」
影山はちゃんと、真面目で…腕を出してきてるんだ、よね?
この人男女の距離感とか気にしたことなさそうだからな…。
「いいよ…」と言うと、「いいことねえだろ。寒いって言ってたじゃねえか」なんて半ば無理やり私の体を寄せた。
あ、あったか〜！
なんだこれ、人間暖房器具!? 何でこんなにあったかいの…?
「すご！ホッカイロだよホッカイロ！」
「何言ってんだよ。ていうか掴みすぎ、」
「へへ。いいね、毎日こうやって帰れば風邪引かなそう。ね?」
「……おー」
「国見ずるい。もっと早く知っとけばよかった！影山といる時間長いの私の方なんだし！」
「…うるさい」
「“うるさい”!?」
なんだコイツ、急にチクチク言葉使いやがって。
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中学2年生 : 春・変わり目→←中学2年生 : 冬・ギスギス暖房器具
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作者名：かげやま
| 作成日時：2024年3月14日 13時
