中学1年生 : 冬・球技大会 ページ1
.
.
.
「…バレー!? 私が?」
沢木の顔には申し訳ないという言葉が書いてあり、きっと私の顔には最悪と書いてあるだろう。宮下が交互に見てニヤニヤしているから。
体調を崩した次の日、始業式があった。
そしてその後、今日の球技大会の種目分けを行ったらしい。
クラスの女子で浮いている私は余り物、「休んでる人に選ぶ権利なんかなくない?」ということで埋まらなかったバレーに入れられた、とのこと。いい加減にして…。
「男子バレー部なんだから教えてもらえばいいじゃ〜ん、だってさ」
「……」
「あはは、顔怖いよ美咲」
「ごめん…私も強く言えなくて…」
おでこを抑えながらそう言う沢木に、心の中で悪態をつきそうになる。
( …沢木は、輪を乱すようなことはしたくないもんね )
そんな一面に救われたのは私だけど、その対象が私以外に向けられた途端厄介なものだと感じてしまう。
「体調平気なの? 病み上がりで球技大会って」
「平気。丸2日寝たから。…でも気分は最悪。教えてもらえばいいって、休んでなくても決めた次の日なんだから教えてもらえるわけないじゃん…嫌味にもほどがある」
「…」
「ごめんね、本当…」
ああ、楽でいいな。
謝っちゃえば楽だもんね。私がキレてるだけ。
自分が楽になりたいだけの謝罪で、嫌がらせは止まるの?
…止まらないよ。
_「また? 迷惑な子だねぇ…」
ぐるぐる、考えることが多くて嫌になりそうだ。
「…美咲、」
「でも！これ先輩に聞いたんだけど！今日3年生も見に来るらしい！」
「え…? 3年生は受験だから1.2年だけって」
「なんだかんだ毎年見に来てるんだよ。各部活見に行くよりも気軽に行けるから、後輩を見にね」
「…及川先輩も…来るのかな」
引退してから全然会ってない…。
1回だけ、職員室に寄ったら会ったけど。
「だから、ね！頑張って！クラス賞欲しいの！」
「…はいはい。頑張りますよー」
まったく行事に熱心なことで。
沢木は息を巻いて「みんな！やるなら優勝！頑張ろうね！」とクラスメイトに話しかけて行った。
なんだろう、ここまで来たらイライラしたのがバカバカしく思えてくるなぁ。
「優勝、ね」
「…男子は目指せるんじゃない? バレーは間違いなく1位でしょう。宮下と影山が揃ってる」
「それは俺が1位を取る気ないと」
「マジで言ってるの?」
「嘘だよ、可哀想な美咲が頑張るなら俺も頑張ろうかな」
ここに影山がいなくてよかったね、殴られてたよ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かげやま
| 作成日時：2024年3月14日 13時
