【HQ】天才になりたい少女の話。

中学1年生 : 夏休み ページ2

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あっという間に期末テストを終えて、夏休みに突入。

今回も学年1位でした。国見と宮下から気持ちがられました。何で?


「あっっっつ！」


ドリンクを作る場所は室内だけどクーラーなんかつけてくれるわけもなく。じとじとする熱が肌に纏わりついて気持ち悪い。

本当に夏嫌い!!! 季節の中で短い方だけど1日が長すぎて体感じゃ半年気分。疲れた。無理。


「あの…」

「? はい」




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「Aちゃん、遅いね」

「そうだな…」


美咲が出て行って30分。
いつもなら20分くらいで帰ってくるのに、今日は何でか遅かった。


「あの子のことだからサボってるわけじゃないと思うけど…」

「美咲ちゃんにしては遅せぇよな」
「20分でも早ぇ方だから、別にこれが普通なんじゃね」
「仕事出来るからなぁ美咲ちゃん」


及川さんが休憩にした流れで気が抜けたのか、ザワザワと騒がしくなる。その中で聞こえてくるのは美咲のことばかり。

ここまで信頼を上げるのも恐ろしい。
このこと話したら「宮下の嘘じゃない?」とか言って信じなさそうだけど、美咲はこの数ヶ月で大分頼れるマネージャーとして認識されている。


「仕事できる上に及川に興味ねぇから、美咲ちゃんがマネで良かったわ」

「ちょっと！及川さんに失礼だよ！」

「…別に興味ねぇわけじゃなさそうだけどな」

「え?」


お。あの様子じゃ岩泉さんは気づいてんのかな。

美咲は及川さんに興味しかない、っていうか及川さんにしか興味ないけど…。
ったく、いつも話聞いてる俺らの身にもなれっつーの。
バレるのがやだからってこっちばっかに吐き出しやがって…。


「…美咲、及川さんの話しかしないっすよ」


隣から聞こえたその言葉に、俺は思わず発言した当人を叩いた。
シーンと、冷たくなる空気。


「バッカ…影山！」

「え、…飛雄ちゃん今なんて言った?」

「席隣でよく及川さんの話してるの聞いてるんで」

「おい…」


まじで? とザワつく先輩たち。

滅多に話さない影山だからこそ嘘をついてるって思わないんだろう。
俺は取り返しのつかないこの現状に頭を抱えた。

…もし、バレたのが美咲にバレたら。


「影山！な、何て…美咲は及川のこと何て言ってる…?」

「“かっこいい”、“顔がいい”、“優しい”……とか」

「うそだろ………」

「見事に典型的な及川ファン…」

「影山、お前あとで美咲に殺されるよ」

「は?」






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