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「ああ、それは大丈夫だよ。ジンに殺される直前に“組織を裏切って警察官になる”っていうのは伝えてあるから。逆に、組織の情報が漏れてないってバレる方が疑われるかも」
「そっか、なら大丈夫だね」
今頃アジトを移動させているか、私の部屋を調べ尽くしているか。どちらにせよこの件で私が生きてると伝わりはしなそう。
組織の情報を提出するのは避けたかったけれども…。
しかたない。こんな優遇された対応を取られたのは、降谷さんが頑張ってくれたおかげだろうから。
「…何を笑ってる」
「いや、…降谷さん、私のこと大事にしてるなあって」
「!」
「感謝してます。その立場でどれだけの規約を破ったのかは聞きません」
私は床頭台の引き出しからある鍵を取り出して、降谷さんに差し出した。
「これ、私の隠れ家みたいなところにあるロッカーの鍵です。…そこに、椿Aが知っている組織の情報等を隠してあります」
「…いいのか」
「…もうあんたに反抗することはしません。でも私が把握してる情報なんて降谷さんと変わらないですよ。ジンのお気に入りだったけど、ボスについて知ってることなんてないんだから」
だから、あんま期待しないでくださいね。
乾いた笑いをして降谷さんの手のひらに鍵を落とした。
少ない情報でも、一応私の人生すべてだ。この人に任せよう。
きっと私が提出するよりも、降谷さんに提出してもらった方が信ぴょう性が高まるだろうし。
「他にも情報を置いていた場所は」
「うーん…あるとすれば組織の私の部屋なんですけど…、多分、今は壊されたか燃やされたかされてると思います」
「確認はしておく。あとで場所を教えてくれ」
「分かりました。メールで…と、そうだった。私スマホが壊れてて」
「水没したんだっけ? 僕、1台柊刑事のスマホ預かってるけど…」
「え、そうなの?」
「そうなの? じゃないよ!あのバーに置いていったでしょ!」
そういえば置いていったような。
あ、置いていったな。刑事用のスマホだ。
「ああ、そしたら降谷さんにはそのスマホでメール送ります」
「お前、コナンくんに迷惑かけるなよ…まったく。ごめんね、コナンくん」
「う、ううん」
「はは、降谷さん、私のお父さんみたい」
「…」
シン…と急に黙り込む2人に、「え、何」と声が出る。
降谷さんの顔色を窺うコナンくんとため息をつく降谷さん。
「…お父さんじゃない」
「え、はい。冗談です」
「柊刑事…」
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かげやま(プロフ) - 歌の柚さん» お返事が1年近く経ってしまい申し訳ございません…!その葛藤を伝えていただきとてもうれしいです;;修正完了しましたのでぜひ読み直していただきたいです!コメント、感想の方ありがとうございました😭🙏 (3月10日 18時) (レス) id: 2b4670edb1 (このIDを非表示/違反報告)
歌の柚(プロフ) - コメント失礼します!完結された後に読んだもんで完結する前に出会いたかった反面イッキ見ができて嬉しいなと思っています!!この作品を読んで何度も泣いてしまって、その度にこの人は感情移入させるのが上手いなと思いました。修正後もまた読み返しに来ようと思います (5月22日 7時) (レス) id: 6a0eef665c (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - ななさん» コメントありがとうございますෆ 完結お祝いもありがとうございます!初めて完結まで…!😭とても嬉しいです、こちらこそ読んでくださってありがとうございました❕修正後もぜひ読み返してくれるとうれしいです😳🫣 (5月12日 10時) (レス) @page34 id: 9bf8a638c6 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 完結おめでとうございます。最近コナンにハマって初めて完結まで読んだ作品でした!ボロ泣きでした笑素晴らしい作品をありがとうございます (5月12日 4時) (レス) @page34 id: 15fec6b812 (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - ユウリさん» コメントありがとうございます(♡) 泣けました報告とてもうれしいです!完結お祝いありがとうございました💞💞 (2023年4月21日 15時) (レス) id: 9bf8a638c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かげやま | 作成日時:2020年3月24日 13時