63. 場違い ページ13
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俺やバーボン、スコッチがコードネームをもらってからしばらく経ったあとに、“ラスティ”という女が入ってきたという情報が流れてきた。
だからといってどんな人物か探る、なんてことはせず放ったまま過ごしていたら、いつの間にかバーボンやスコッチが仲良くしていた。
「ラスティはいい子だよ」
「おいスコッチ。そいつにそんな話してどうすんだよ」
「まあまあ落ち着けって。独占欲も大概にしとけよ〜?」
「そうじゃない」
こんな組織に入っていていい子とは何とも素敵な頭をしているようで。
俺みたいに潜入捜査としてならまだしも…。
___ 「わあ、綺麗な黒髪だね」
ふわりと香った椿の匂いに、皮肉にも同じ黒髪。
そしてすぐ目に入った淡い黄色の瞳。
街中にいたら目が入らないような女なのに、この組織の中で異常な雰囲気を醸し出しているラスティは、確かにスコッチが言うような『いい子』。
( …いやこれは、場違いだろう )
なぜここにいる?
人を殺せるような人間には見えない。
「スコッチがね、ライは大人の男そのものだよって教えてくれたんだよ。そしたらほんとにそうだった！」
「…俺は君が『いい子』だと教わったが、初対面に対して敬語を使わないあたりそうではないらしいな」
「は!!? やっぱり訂正！バーボンの言った通り性格ひねくれてる！」
真っ直ぐで皮肉も受け入れる、ひたすらに無邪気。
会ったら必ず笑わない日がないくらい彼女は明るかった。
この暗い薄汚れた場所で唯一の光だった。
___ しかし一度だけ、笑わなかった日があった。
それは
「ライが、スコッチを殺したんだってね」
「……それが何だ。俺は裏切り者を処罰しただけだ」
「…裏切り者…なんかじゃ、…」
「いいや。彼は公安の犬だった。じゃなきゃ逃げないし携帯に穴を開けない」
俺の言葉に唇を噛むラスティ。
泣いたのか、彼女の目は酷く腫れていた。
( …そうか )
「…惚れていたのか」
ふたりが一緒にいたところを何度か見たことがある。
その時のラスティの表情は何とも幸せそうに笑っていたのを覚えている。
ラスティ・ネイルはスコッチから来ているだの、
スコッチは優しくてこの前も自分のミスをフォローしてくれただの。
…本当にこいつは、
「初恋だった」
場違いな奴だ。
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かげやま(プロフ) - ののいろ系女子さん» コメントありがとうございます。貴重な年越しなのにこの作品を選んでいただいてとても嬉しいです(；；)こちらこそありがとうございます！ (2020年1月16日 10時) (
レス) id: 1cd1d05918 (このIDを非表示/違反報告)
ののいろ系女子(プロフ) - とても面白いです！年またいで読んだんですが、もう大好きの域に到達してます。ありがとうございます！ (2020年1月1日 7時) (レス) id: 8fb3eabd58 (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - さちさん» コメントありがとうございます(^^) 期待に添えるよう頑張りたいと思います！ (2019年12月11日 8時) (レス) id: 1cd1d05918 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろいです。続きが楽しみです。よろしくお願いします。 (2019年11月28日 19時) (レス) id: ab48ac4e7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2019年7月8日 21時
