130 昔話 ページ30
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次の日から、俺は教室に入る度に千秋の姿を真っ先に探した。
茶色の髪で…この浮ついたクラスに似合わない背中。
ピンと伸びて、うん。綺麗。
「千秋、おはよう」
「おはようA！」
本を読んでいた顔を上げて、優しく笑いかけてくれる。
そんな千秋に安心して俺も口角を上げた。
ふと手元に目線をやると昨日までなかった擦り傷があった。
「それ、どうしたの?」
「ん? …ああ、実は登校中に猫が木の上で降りれなくなっててな。それを助けてあげようとしたら引っかかれてしまったんだ」
「…最近そういうの多くない? この前も犬に追いかけられたとか言ってたよね」
「うむ…どうにも俺は動物に好かれないらしい」
そう言って苦笑いを零した。
別に千秋は動物に好かれないわけじゃないと思うけど…。
こんな太陽みたいな存在なんだし。
それに俺が心配してるのはそっちではない。
「動物とか、助けてたらキリないんだからほっときなよ。何で千秋が怪我して終わるの」
「いや。それじゃダメなんだ」
「え?」
「それじゃ、…俺は変われないままだから」
「…」
また、“流星隊”か。
千秋の悩む種はいつも“流星隊”だ。
夢ノ咲で最も古いユニットで大勢の生徒が所属しているらしい。元々は特撮ヒーローをコンセプトに作られたらしいけど、今はもう不良のたまり場のようになってしまっている。
教師が苦い顔をして挙げるユニットなんて、大体“流星隊”だ。
千秋は大好きなヒーローになるために“流星隊”に入ったみたいだけど、“流星隊”の話になるといつもこうやって悲しそうな顔をする。
…どうやったら悲しくさせないんだろう。
俺は友達なんて千秋が初めてだから、分からない。
「千秋、とりあえずこれ付けて」
「…絆創膏? あはは、女の子みたいに几帳面だな。普段から持ち歩いてるのか?」
「バカ。千秋が怪我するようになったから念の為持ってたんだよ」
「そっ、そうなのか」
「…俺も、入ろうかな」
「ん?」
ペリ、と絆創膏を貼ることに夢中でこちらを見ない。
「“流星隊”、俺も入る」
「えっ!? あ痛…！」
「何で剥がしてるんだよ…」
「あ、え!? い、いいのか！」
「うん。入ったら千秋と一緒にいれるよね?」
「もちろんだ！」
理由は単純だ。一緒にいたら楽しい友達が悲しむ元凶を、俺が少しでも減らしていければなんて。
そんなの、俺に出来るわけないのに。
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suzuna(プロフ) - 凄く面白く、一気読みしてしまいました…‼︎更新楽しみにして気長に待っております(*´꒳`*) (1月18日 8時) (
レス) @page35 id: 63b5e8db0f (このIDを非表示/違反報告)
Lim - 凄く面白いです！更新頑張ってください!! (2022年3月20日 21時) (レス) @page32 id: 69ed93d6c8 (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - やまはさん» コメントありがとうございます。返信遅くなってしまい申し訳ありません…！😭 更新致しました！これからも気まぐれになりますがしていくので良かったらご覧になってくださると嬉しいです！ (2021年12月12日 22時) (レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - あひる様さん» コメントありがとうございます。返信遅くなってしまい申し訳ありません…！😭 意識して厳しくしていたのでそう言っていただけてとても嬉しいです！これからも更新頑張ります。 (2021年12月12日 22時) (レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
やまは(プロフ) - すごく面白くて一日で�靴泙覇匹鵑任靴泙い泙靴拭�！これから更新の予定はありますか？続き待ってます…！ (2021年10月19日 17時) (レス) @page27 id: d3221d33a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2020年5月29日 0時
