128 昔話 ページ28
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カチャ、と金属音だけが保健室に響く。
眼鏡くんが消毒液を当てる度に「うっ…」と呟くのが沈黙をさらに気まずくする原因の一つだった。
顔だけじゃない。腕には痣とか擦り傷とか、明らかにアイドルがしてはいけないような傷を負っている。
それなのに、彼は「大したことない」なんて。
「…す、すまん。あの、本当に、」
「…何の謝罪?」
「いろいろ…だな」
「…」
俺が怒ってることはひとつだけだよ。
カチャン、とピンセットを置いた。
「あのさ、…アイドルになりたくて夢ノ咲に来たんじゃないの」
「…」
「アイドルって身体を売ってるようなもんなんだから、もっと大事にしなきゃダメだよ。顔なんて特にさ。だから、大したことないとか言うな」
多分、単なる八つ当たりだった。
本気じゃない奴が多すぎて、そんな奴らに馬鹿にされて。
気にしてない振りしてただけだったんだ。
怒りや憎しみは毎日毎日募っていた。それがたまたま、この眼鏡くんに放出されただけ。
それでも俺は申し訳ないなんて思わないし、これから先も思うことない。…はずだった。
「…そう、だな。俺はただ、“流星隊”を守りたいだけなんだが…アイドルなのは変わりないんだよな」
「…『流星隊』?」
さっき、先輩2人が言ってた…問題の。
眼鏡くんはそのユニットに所属しているのか。
「はは…声をかけただけでこのザマだ。
俺ではきっと、守ることはおろか何かを発することもできやしない。いったい何のためにここに来たのか…」
悲しそうに。自嘲気味だったのがどんどん泣きそうな顔になっている。
「挙句の果てには手当をさせてしまっているし…。
本当にすまない。君も忙しいだろう、もう大丈」
「別に。…人に手当してもらった方が綺麗でしょ」
「そ、そうか…。すまないな」
「人が善意でやってるのを謝ってばっかなのはどうなの?
…って、違う。俺はまた、…」
「あ、ありがとう…」
そんな顔をさせたくて言ったわけじゃない。
もっと、他に何か言いたいのに何て声をかければいいのか分からなくて。
言い淀んだ俺を不思議そうに見る眼鏡くん。
「…その、ごめん」
ようやく謝罪をした姿は、言い慣れてないせいでどれだけ滑稽だったことか。
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suzuna(プロフ) - 凄く面白く、一気読みしてしまいました…‼︎更新楽しみにして気長に待っております(*´꒳`*) (1月18日 8時) (
レス) @page35 id: 63b5e8db0f (このIDを非表示/違反報告)
Lim - 凄く面白いです！更新頑張ってください!! (2022年3月20日 21時) (レス) @page32 id: 69ed93d6c8 (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - やまはさん» コメントありがとうございます。返信遅くなってしまい申し訳ありません…！😭 更新致しました！これからも気まぐれになりますがしていくので良かったらご覧になってくださると嬉しいです！ (2021年12月12日 22時) (レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - あひる様さん» コメントありがとうございます。返信遅くなってしまい申し訳ありません…！😭 意識して厳しくしていたのでそう言っていただけてとても嬉しいです！これからも更新頑張ります。 (2021年12月12日 22時) (レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
やまは(プロフ) - すごく面白くて一日で�靴泙覇匹鵑任靴泙い泙靴拭�！これから更新の予定はありますか？続き待ってます…！ (2021年10月19日 17時) (レス) @page27 id: d3221d33a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2020年5月29日 0時
