117 第1部/ 迷子の案内 ページ17
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「…どこから来たの? 軽音部の部室?」
「うむ」
「……部室どこだっけ、」
「！なら我輩が口で教えるから、そのまま進んで行こうぞ♪」
「何でそんなに楽しそうなの?」
最初はAが握った手も、いつの間にか零先輩が握っているみたいだ。イヤイヤと言いながらもAもAで嬉しいからどうしようもない。
零先輩の手は骨ばっていて細長い。反対にAは骨格の問題か手のひらの方が大きく細いが長くはない。
細長いの羨ましいな、と手をじっと見ていると「ん?」と零先輩が笑うので首を振った。
「Aはこれから仕事なのかえ」
「うん。今日は雑誌のインタビューがあるんだけど、マネージャーさんが昨日撮った雑誌の写真で揉めたみたいで遅れてる」
「引っ張りだこじゃな…。ちゃんと休めているか心配じゃ」
「休めないようにしてるんだし…」
「…どうして?」
「だって家にいたら嫌なこと考、ぇ…な、なんでもない」
「…、あ、そこを右じゃよ」
喋りすぎた。Aは冷や汗をかきながら、無意識に手をぎゅっと握ってしまう。零先輩がそれに気づかないはずがないが、特に何も言うことはなかった。
その後も何も話さないまま零先輩の指示通り歩くだけ。
( …何か話さなきゃ、)
「そ、そういえば薫くんと仲良くなったんだ」
「ん? あぁ…ユニットをな、組むことになったんじゃよ。“UNDEAD”という名の。4人組ユニットじゃ」
「ユニット…?」
零先輩ひとりでもいけるだろうに、どうしてわざわざユニットなんて組むんだろうか。
( …なずなも、新しい1年生と組んだって言ってたな )
あの零先輩ですら組んでいるということは他のみんなも…?
Aみたいにソロ活動をやっている人は、少ないのだろうか。
「…Aは、我輩が変わっても何とも思わないのかや」
「え? 何が…、零先輩が…ああ、おじいちゃんみたいになったこと?
…別に、私だって売れるために路線変えたし。零先輩が零先輩であるなら、なんとも思わないよ」
「…」
「どんな理由があるかは知らないけど…あ、ごめん。メールが…、…零先輩私もう行かないと」
「タイムリミットじゃな。ここまでで十分じゃ、ありがとう」
「…うん」
ス、と手が離れる。
また寂しさを感じても、今度は握り返すことをしなかった。
またね、と告げて踵を返して校門へと向かった。
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かげやま(プロフ) - LIさん» コメントありがとうございます！ただただ私が書きたいことを書いているので、そう言ってくださる方がいることに喜びを隠しきれないです(;_;)お待たせしてしまうこともあるかもしれませんがこれからも楽しんでもらえるように頑張ります！本当にありがとうございます。 (2022年9月26日 6時) (
レス) @page44 id: cbb4c9f31f (このIDを非表示/違反報告)
LI(プロフ) - 今日の更新ありがとうございます！本当にこの物語大好きです。毎回泣きそうになりながら読んでいます！このお話の内容が本当に大好きです。これからも作者様のペースで更新頑張ってください。素晴らしい作品をありがとうございます。 (2022年9月25日 20時) (レス) @page42 id: 8345af9beb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2022年8月21日 1時
