148 スカウト/ 恋のキューピット ページ48
.
「…嘘?」
「うん、嘘だね。だって…じゃあ、どうして今話しかけてきたの? どうして相談に乗ってくれてるの? 嫌いになって欲しいならそのまま放っておけばよかったのに。こうやって優しくしないでおいたら、少なくとも今よりは…嫌いになってたかもしれない」
「それは、」
「ふふん、それにね。私はもう知ってるよ、どうして話しかけてきたのか」
Aはドヤ顔をして続ける。
「夏目が言ってたの。渉くんがとっても寂しそうにしてたって。
私に話しかけたのはそういう理由でしょ? そう思う人が、私に嫌われたいなんて思うわけないよ」
Aが言っていることはつまり、自分を嫌いたい? 寂しいって言ってた人が? そんな訳ないじゃん！という自分都合の解釈。
それをあたかも推理を完璧に解き明かしかのように振舞っている。渉くんは鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をして、途端笑いだした。
「あっはっは☆ これは1本取られましたね！」
「なーに笑ってるの」
「そんなにドヤ顔して…もしかしたら、Aと話したくて私が夏目くんに嘘をついたかもしれないですよ?」
「え、私と話したいって時点で嘘にならなくない?」
「まぁ、そう言われたらそうなんですけどね。…はあ、あの顔は一生忘れなさそうです」
夢に出てくるかも、なんて。ふざけたことを言って。
( あーあ、結局渉くんに聞いても恋は分からないままみたいだなあ )
でも、こうやって話すのも久しぶりだったから。
分からなくても文句はない。ずさんな演技になってしまうだけだ。
「もうちょっとで思い浮かびそうだったんだけど」
「何がです?」
「好きな人。さっきの渉くんの質問聞いて、誰か思い出しそうだったんだよね〜…モヤがかかって、すぐ5人が出てきたからさ」
「誰もから愛されているAの好きな人なんて、どれだけの人が望んでいるんでしょう?」
「は? 望んでる人なんかいるわけないじゃん」
「ひ〜ん、鈍感な人にこう言われると腹立ちますね〜！」
とりあえず明日の撮影では渉くんが言っていた人がいるつもりで演じよう。日和先輩を一緒にいたい人って思えば何とかなるだろう。
「そうだ、ドラマを見て思ったんですけど。Aの演技大分下手で安心しました」
「…」
「恐らく事務所の方にもコーチはいるんでしょうけど、あの棒読みは何とかした方がいいですよ♪ じゃあ私これから用事があるので失礼しますね☆」
「もう！渉くん!!」
.
149 スカウト/ →→失恋→←147 スカウト/ 恋のキューピット
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 492人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かげやま(プロフ) - LIさん» コメントありがとうございます！ただただ私が書きたいことを書いているので、そう言ってくださる方がいることに喜びを隠しきれないです(;_;)お待たせしてしまうこともあるかもしれませんがこれからも楽しんでもらえるように頑張ります！本当にありがとうございます。 (2022年9月26日 6時) (
レス) @page44 id: cbb4c9f31f (このIDを非表示/違反報告)
LI(プロフ) - 今日の更新ありがとうございます！本当にこの物語大好きです。毎回泣きそうになりながら読んでいます！このお話の内容が本当に大好きです。これからも作者様のペースで更新頑張ってください。素晴らしい作品をありがとうございます。 (2022年9月25日 20時) (レス) @page42 id: 8345af9beb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かげやま
| 作成日時：2022年8月21日 1時
