何も、言わないから ページ8
side 業
なんでだろう。
さっきの言葉がぐるぐると頭の中を駆け巡る。
「そんなに抱え込まなくてもいいんだよ」
なぜだろう、すごく言い覚えがある。
自分では言った覚えはないんだけど、絶対言ったことがあるのは分かる。
・
・
！？
激しい頭痛に襲われる。
また、いつかの風景がリピートされる
最近増えてきたこの頭痛。
だけど、今日のはいつもの3倍くらいの痛みがあった
さすがに立ったままだとやばかったのでしゃがみこんだ。
磯「おい、カルマ！？」
みんなの声が聞こえるけど、今それどころじゃないんだってば
いつもならぼやけている風景が数段はっきり見える。
幼業「ヒビ―！！」
幼？「カル！一緒にやる？」
幼業「うん！」
はっきり見えた。
この時は五歳くらいだったな
なんだ、この子だったんだ。
俺が忘れていたことって。
転校生ちゃんが、この子だったんだね。
道理で俺のことだけ知ってたんだ。
俺の旧姓は”藤原”。
ヒビと同じ小1でいまの赤羽家に来たんだったな。
なんで全部忘れてたんだろう。
昔っから仲が良かった俺に跡形もなく忘れられてるんだからきつかっただろうな。
・
____________ごめん。
そっちはなにかと気にしてくれていたのに。
俺が、俺だけが気付けなかった。
ねぇ、何があったの？
俺が知っているヒビはもっと明るかったよ？
俺が忘れてしまった間にヒビの身になにが…。
いつの間に信じなくなったの？
俺はまだ、信じてるのに。
私の役目は終わったかのようにこの場を立ち去ろうとしているヒビに声をかける。
業「ねぇ。俺は、何も言わないから。ただ、聞いてほしいことがあるんだ。」
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作者名：海里 | 作成日時：2018年3月9日 16時
