愛の結晶２ (ページ9)

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第５８話：最低な人間ページ9

彼の言ってることが不思議でならなかった。私自身と言われても、ただ眠っていただけで特に何もしていない。思い当たることとして、夢の中の彼に見捨てられた衝撃で目覚めたことくらいだ。

グルーシャ
「人生、楽しいことばかりじゃない。辛いことだって沢山ある。だけど、この奇跡を無駄にしてはいけない。」

A
「・・・」

グルーシャ
「せっかく掴み取った夢だ。・・・もし、不安なことがあれば、可能な限りあんたの力になるから。」

A
「・・・うん！」

こんなにも、私のことを励ましてくれるなんて・・・。かつて、プロのスノーボーダーとして活躍していた彼を思い出す。彼の言葉を励みに、治療とリハビリを精一杯頑張った。

ー

ー退院当日ー

ロトロトロト・・・

A
「あ、お母さんからだ。・・・もしもし？」

母
「おはよう、A。今日、退院なんでしょ？調子はどうなの？」

A
「うん、バッチリだよ！」

母
「そう、良かった・・・。」

A
「お母さん・・・？」

母
「もし、貴方を失ったら・・・私・・・。」

A
「っ・・・心配かけて、ごめんなさい。」

悲しげな声につられ次々と涙が溢れてきた。グルーシャだけじゃなく、お母さんをも悲しませるとか・・・最低な人間だ。

A
「ごめんなさい・・・。」