愛の結晶２ (ページ6)

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第５５話：敵わないページ6

A
「でも・・・」

何かを言いたげに口をもごもごさせるが、それ以上続くことはなかった。

グルーシャ
「怖いんだろ。」

A
「・・・」

グルーシャ
「僕のことを、裏切るみたいでって・・・。」

A
「！」

どうやら図星のようだった。

グルーシャ
「あんたの思っていることくらいお見通しだよ。・・・何年、幼馴染してると思ってるの。」

A
「あはは、やっぱり貴方には・・・敵わないね。」

苦笑いしながら目を逸らす。

A
「グルーシャの場合、ドクターストップがかかったから夢を諦めたのに・・・私だけが夢を追い続けるなんて、そんなの・・・出来ないッ・・・。」

グルーシャ
「・・・」

優し過ぎる。自分のことより、僕の心配なんか・・・。

グルーシャ
「聞いて。あんたは意識不明の重体だった。「最悪の場合、目覚めない可能性が高い。」とまで言われた・・・。そんなあんたに、奇跡が降りかかったんだ。」

A
「奇跡・・・。」

グルーシャ
「まぁ、後遺症が残らなければの話だけど・・・。」

スノーボーダーの命である足の怪我により、これ以上の負担をかけてはいけない・・・。雪山と限られた治療法によって、僕の人生は１８０度変わった。Aの場合、目覚めたのは良いとして、これからどう乗り切るか・・・。