【夏油傑】怖い先輩 1

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力いっぱい握られ、骨がミシミシいう音が体の中で響いている




「…術師を辞め、補助監督をやっても、

呪術師とは名ばかりの生意気なクソガキに軽蔑の目でみられ、

ベテランの老いぼれじじぃには小言を言われ…


もう嫌気がさしていたんだ……

でも、そんなとき、Aだけが僕に優しくしてくれて…

きっとAは…可哀想な僕に神様が送ってくれたプレゼントなんだよね…」






「…は、離して…ください…お願い、します…」







怖い、怖い、怖い怖い怖い…



誰か助けて、助けて助けて…





カタカタ震え、恐怖で力も入らない。








「A…可愛いよA…。僕のものにしてあげる…」






そういうと藻布さんは私の首に噛み付いてきた





「…ぃ、痛いｯ！やめて！…離して…！！」




ジタバタ暴れても余計体重をかけられ苦しくなっただけで何も変わらない







やだ、やだやだ、なんでこんなことに…



私が車の中で眠ったりしたから…





私がもっと早くみんなに相談して、


上に直接話していれば……





首を噛まれ、血が出ているであろう場所をペチャペチャと舐められ吐き気がする





自分の血液と藻布さんの唾液でベタベタになり、


嫌悪感、恐怖心、憎悪、全てが涙になって溢れた







……夏油先輩…、夏油先輩…、




「………夏油、先輩…、たすけてｯ…」









肩を掴んでいた手がカッターシャツのボタンを掴み、引きちぎられようとした、









次の瞬間、



爆発音とともに私に覆いかぶさっていた藻布さんが吹き飛んだ。





「…Aｯ！！A、大丈夫かい？！！」




「…夏油…せんぱ…い、」






車の天井部分は破壊され、大きな月と必死な表情の夏油先輩が見えた



「すまない、私が傍にいなかったから…可哀想に…A…もう大丈夫だよ、安心していいよ。ごめんねA…大丈夫だよ」






先輩の大きな体に抱きしめられ


恐怖で冷えきっていた体は徐々に温められた









夏油先輩、無事だったんですね…。


全然返信が来ないから…結構本気で心配してたんですよ…。


どうして先輩が謝るんですか、先輩は何にも悪くないのに…。


とにかく、会えて本当に良かったです…。







沢山言いたいことはあったのに、何一つ言葉に出来なかった




まるで迷子の小さな子供のように、


呼吸もすることも出来無いほどに、





ずっと泣いてしまっていたから。





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