幕間_桜井美咲 ページ47
「おやおやーかしやん!奇遇ですね、あなたも居たんですか!」
私は見知った人影に近付いた。振り向いたのは、人形のような繊細さと精霊のような神秘を感じさせる純白の少女。私の親友、白檮山狂花だ。横には、先刻見かけた銀髪の人―――十六夜空夜さんも居る。
「やあ、美咲。僕も不本意だがね、久々に外に出てきたのさ。―――っと、やれやれ。妖怪共が寄ってたかって人間を襲うなんてどうかしてるな。阿保な闖入者も居るものだ。あのまま異変を終わらせれば良かったものを、自分の退屈を紛らわせるために、だなんて」
「闖入者?退屈?どういうことですか?」
「こっちの話だ」
狂花は皮肉げに笑った。
「狂花、与太話は後にし給えよ。あの繰り返す人間はそういうタチなんだろう。そもそもあんな宿命を背負って歪まない方がおかしいじゃないか。そんなことで余所見しているとさっくりいかれるよ。まあ、そうなれば願ったりだけど」
「ふん、余裕だな空夜。君こそさっくりいかれるんじゃないか?余所見するのは得意だろう。今なら盛大に弔ってやるぞ」
二人がからからと笑った。空夜さんも狂花も、言葉に棘があるものの、奥底には深い信頼のようなものがあるように感じた。その感想は、考えるまでもなく口からするりと出た。
「お二人は仲が良いんですね、羨ましいです」
私が言うと、二人は全く同時に私を見た。ああ、やっぱり息が合っている。
「馬鹿じゃないのか美咲!僕とこいつが仲良しこよしだと⁉冗談じゃない、撤回してくれ!」
「全くだよ、桜井さん。私とこのもやしが仲良しな訳ないだろう」
「そんなこと言って息ぴったりでしたよ、さっき。喧嘩するほど仲が良い、ってやつでしょうか」
言いながら、近付いてきた妖怪を吹き飛ばした。一挙手一投足が双子と見紛うほどぴったり合っているので、私はにっこりと笑う。こんな風に、喧嘩もできる程親密な関係は、忌憚なく言えば羨ましい。普段里から離れているから忘れがちだが、私は里の嫌われ者なのだ。
「いいですよね、喧嘩するほど仲が良い、って。羨ましいです。私なんて―――」
「おっと、待て美咲。君の悪い癖はそうやってすぐに卑屈になる事だ。僕が空夜と仲良しなんてことは天地が社交ダンスを踊ってもあり得ないから、安心してくれ」
狂花が私の肩を叩きながら言った。空夜さんが不機嫌そうに息を吐く。二人が戦闘を再開すると同時に、私も臨戦態勢に入った。
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うp主こと東方好き死神まお(プロフ) - 更新します! (2022年3月28日 16時) (レス) id: f03e2072c0 (このIDを非表示/違反報告)
天洲秋(プロフ) - 次巻作らせて頂きます!!! (2022年1月2日 12時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
素甘町(プロフ) - 更新しました!あと、お話がいっぱいになったみたいです! (2022年1月2日 12時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
素甘町(プロフ) - では、私も更新させて頂きます! (2022年1月2日 11時) (レス) @page49 id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
天洲秋(プロフ) - 更新しました! (2021年12月31日 15時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サナティ x他3人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2021年4月3日 9時