【募集企画】東方幻想記録物語7巻 (ページ44)

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まだ終わらない　霊華ページ44

―――霊華。
「何？アポロン」

脳内に声が響いた。霊華が怪訝そうに言うと、声は答えた。

―――まだ終わらないよ。そういう託宣を受けたんだ。
「待ってアポロン。でもおかしいわ。異変は銀髪のお嬢さんが倒したじゃない。……どうして、まだ終わらないのよ」
―――誰かが干渉してるんだよ。僕らはそっちを解析する。霊華も気を抜かないで。

霊華は緊迫した表情で頷いた―――その瞬間。
背筋に悪寒が走り抜けた。

「なにが来るの……？」

桜が呆然と言った。すると、ゴッ！という爆音が霊華を襲った。見れば、粉塵を巻き上げながら弾幕が飛んできている。そして爆音に続いたのは、幼い少女の声。

「アァ……わかりますよ、皆さんの動揺。手に取るようにわかります。やはり覚の力こそが最優。無様に逃げ惑う様を見せて下さいね」

桃色の短い髪にじっとりとした目。そして全身に繋がっているコードと、不気味に浮遊する第三の目。恍惚とした顔の少女は、意味ありげににやりと笑って魔法陣を展開した。

「古明地さとり……知ってると思うけど読心の力を持つ妖怪よ。精々気をつけなさい」

一〇歳程度の少女が、やけに大人びた声で言った。先の戦いでずっとビームを撃ちまくっていた少女だ。
―――霊華、戦わないと。
霊華の中の誰かが言った。
―――ええ、もちろんよ。

「皆様！異変の元凶と思しき方がやられたというのに未だ解決していない事は、一旦置いておきませんの？何故かは見当もつきませんが、解析は私の中の神々がやってくれますわ。皆様は一度解散して、幻想郷各所へ向かってくださいな。原因を突き止めるまでの、時間稼ぎをやって下さいませ！」

霊華は言って、懐からカードを取り出した。同時に、共闘した仲間たちも各所へ散らばっていく。桜が、

「待って、霊華！あなた一人で戦うつもりなの？私も一緒に……」

言いかけたところで、霊華が遮った。

「桜。わかってくれると思うけれど、私は貴方を戦いの中心地に残しておきたくないわ。覚と戦うよりも、そこらの雑魚妖怪と戦う方がずっといいわよ。貴方の安全の為なの。お二人も賛成ですわよね」

桜のに仕えている(らしい)二人の巫女服の少女たち―――雪華と藤華が頷く。藤華はぺこりと頭を下げ、

「桜様の心配をしていただき、誠に感謝致します。桜様のご友人とあらば、私達の主人のようなもの。桜様に仕えている故にお手伝いは出来ませんが、ご武運を」

そして三人は飛んで行った。

「スペルカード発動。『神符』蒼炎の冥界神』！」

霊華の戦いが始まる。