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日常のひとかけら 一条言葉 ページ28

わたしは重い瞼を必死で持ち上げながら、ペンを持って椅子に座っていました。今度、新しく流す噂を考えているからです。尤も、広めているのはわたしではないのですが。どうやらわたしは、寝ている時にもう一つの「私」が活動しているらしく、その「私」__言ノ葉、と名乗っているらしい__が噂を広めているんだとか。だからわたしは万年寝不足だ、と言われました。言ノ葉の方が広めた噂はメモして置いてくれるので、わたしはその噂で能力を発動させます。
 わたしの後ろでは、わたしの助手__なんの助手なのかはわからない__である月輪桐真くんが家事をやってくれています。桐真くんは神の血が流れている半人半神で、理由はわからないけれど__この前理由を聞いたら、顔を真っ赤にしながら「僕がやりたいからです」と言われました__噂の執筆で忙しいわたしの代わりに家事をしてくれています。
 わたしの仕事は、噂を書いて言ノ葉の方に提供し、人里が襲われたりした際には広めてもらった噂を使って人里の警備をする事です。逆に言えば、人里で何も無ければ噂を書く位しか仕事がありません。異変が起きても里に何も無ければ何もしないからです。あくまで受動的な異変の対処であり、能動的な対処はわたしの仕事ではない、という事になります。
 そんな事を考えながらぼんやりしていると、掃除を終えた桐真くんがお菓子を出してくれました。なんでも今回のお菓子は紅魔館のメイド長直伝の洋菓子なんだとか。桐真くんは綺麗なお皿の上に洋菓子を乗せて、これまた綺麗なティーセットと一緒にテーブルに置きました。
 わたしはペンを置いて、テーブルにつきました。わたしは綺麗なお皿に乗った洋菓子をそっと舌に乗せます。とろけるような甘みが、口の中に広がりました。

「言葉さん、いかがですか?」

 桐真くんが、恐る恐るといった感じでわたしに聞きます。洋菓子はとても美味しくて、とても素敵に感じました。その感想を伝えるために、わたしが満面の笑みで

「美味しいです。西洋のお菓子、素敵ですね」

 と返すと、桐真くんは嬉しそうに笑って、自分も洋菓子を口に入れました。桐真くんも、洋菓子の甘みにびっくりしたように目を大きく開くと、わたしに向かって笑いかけました。わたしと桐真くんは同い年の筈なのに、こういう時、桐真くんがなぜか弟の様に見えます。桐真くんが幸せそうで、わたしはとても嬉しいです。

 ふと、こんな日が毎日続くといいな、とわたしは思いました。

楽園の裁判長の片割れ 神明写姫・ヤマザナドゥ→←え、共闘する感じ?_西行寺魂々葉



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うp主こと東方好き死神まお(プロフ) - 更新します! (2022年3月28日 16時) (レス) id: f03e2072c0 (このIDを非表示/違反報告)
天洲秋(プロフ) - 次巻作らせて頂きます!!! (2022年1月2日 12時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
素甘町(プロフ) - 更新しました!あと、お話がいっぱいになったみたいです! (2022年1月2日 12時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
素甘町(プロフ) - では、私も更新させて頂きます! (2022年1月2日 11時) (レス) @page49 id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)
天洲秋(プロフ) - 更新しました! (2021年12月31日 15時) (レス) id: cc7395c068 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サナティ x他3人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/  
作成日時:2021年4月3日 9時

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