▽ ページ35
ふわりと白い湯気が立ち込める。
「安斎さん凄いですね。」
「何がァ？」
「ブラック飲めるって流石です」
「ハハ、それはAが甘党すぎるだけだろ？」
「そうですか？」
淹れたブラックコーヒーを彼の前に置く。
ありがとー。と返事をされると、
嗚呼､用意して良かったなと心から思えた。
自分用に淹れた紅茶の湯気を眺める。
「お前の母親。来年ケームショ出るんだってな」
「っ！」
目を見開くA。
安斎はニヤリと笑っている。
「その話やめてくださいって言ったの忘れました？」
「Aこそ､俺がやめないって言ったのは忘れちゃった？」
軽くあしらってコーヒーをひとくち。
「あの女、何したんだっけ？」
「……解ってるでしょ？」
「いや、解らないね。教えてくれない？」
「厭らしいですね」
ムッとする彼女は小さな声で呟いた。
「………………児童虐待､不倫。あと詐欺」
「酷い親だねえ。」
クックックっと気味悪く笑うと安斎はAの前にしゃがんだ。
「あのさァ。あいつ来年出てくんだろ？
接触したらどうすんの？」
「今は考えたくないです」
「オイオイ逃げんのかよ！」
また椅子に座り直しす。
Aはティーカップをぎゅっと握りしめて俯く。
「俯いてちゃ可愛い顔が台無しだぜ？」
「………………どうして今さら蒸し返すんです」
「忘れたか？今日で丁度10年だ」
「！」
Aは驚いて、指折り数えた。
親に"捨てられた"のが6才の時。
今は16才。丁度10年だ。
「10年前の今日でしたか。安斎さんに"拾われた"の。」
「10年目突入ってことで、振り返ってみないか？」
怪しく笑う彼に対して反論などできる立場にない。
「思い出すだけで吐き気がするんですが」
「母親の事、ぶった斬るんだろ？」
母親。
拾われた。
捨てられた。
そう、その物語は、Aが産まれたときから始まっていた。
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やまは(プロフ) - すっっっっごく面白いです。この小説はもう続きは書かれないのでしょうか？ (2021年8月20日 10時) (
レス) id: d3221d33a6 (このIDを非表示/違反報告)
だいふくリンゴ☆(プロフ) - アリスさん» コメントありがとうございます！分かりました。少し変えてみますね! (2019年12月11日 17時) (レス) id: 95bcbb87f7 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - いつも楽しみにしています！しかし、私は3話位からCheatを見始めたので今更新されている部分を見たことがありません。なので夢主が話している部分に何か工夫をしていたたけないでしょうか？更新楽しみに待っています！ (2019年11月30日 20時) (レス) id: d130f5b687 (このIDを非表示/違反報告)
だいふくリンゴ☆ - 麗さん» ありがとうございます！更新がんばります!! (2019年11月29日 14時) (レス) id: f2e97ee25b (このIDを非表示/違反報告)
麗 - 更新されるの楽しみに待っています！ (2019年11月26日 20時) (レス) id: 6b0a4622ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だいふくリンゴ☆ | 作成日時：2019年10月20日 1時
