67#智side ページ20
智side
気になってること、それは……
にのの酒の飲み方だった。
彼女がいなくなって最初は酒を飲まなくなったにの。
けど……
一見元気になって誘われれば食事にも行くようになった頃から明らかに酒の量が増えたと思う。
酒を飲んで気が紛れるのはいいんだ。
にのはもともと酒が強いし。
でも、明らかにペースが早過ぎる。
それにほとんど食わないから……
今日はいつもと比べてまだ食べてるほうだとは思う。
でも強いはずのにのの目が据わってきた……
普段はオイラのほうが全然弱い。
今日はにのを甘えさせるのが目的だから最初からあまり飲んでない。
途中から念のためウーロンハイと言う名のウーロン茶に店長にしてもらってた。
そんな風にオイラが考えてたらにのの動きが止まった……
”……、ねぇ、大野さん？
俺さ？……”
ん？って返事したオイラの目を焦点の合ってない潤んだ目で見たにの。
”俺さ？時々思うんだよ……
なんで俺は頑張ってんだろ？ってさ(苦笑)
何の為に？ってさ？(笑)”
”頑張った先に何があんの？
もうよくわかんないんだよね？
だってさ？どんなに頑張ったってもう……”
黙ってにのの顔を見てるオイラに独り言みたいに呟く。
その先の言葉、言わなくてもわかるよ。
今のにのには目標みたいのが見えなくなってる。
彼女がいなくなってどうしたらいいかわかんないんだよな。
けど……
”俺さぁ、すっごい女々しいなぁって思うんだけどさ？
もういないのにあいつにズルいよって言っちゃうんだよ……(笑)。
残されてさ？俺、どうしたらいいんだろ？(笑)”
笑ってるけど泣いてる……
いや、心が悲鳴をあげてる、そんな風に感じた。
どうしてやれる？
何も出来ないおいらにたった一つ出来るのは……
にののその華奢な体を抱きしめてやることだけだった……
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作者名：きらきら | 作成日時：2014年11月14日 18時
