4 JMside ページ4
体育館内の時計が
15時20分を指しても
ラブレターの子らしき人は来なかった。
もしかして、もう帰っちゃったのかな…
間に合わなかったのかなぁ…
そんなことを考えながら
体育館周辺を探し回った。
ここには？
いない…
ここは？
いない…
あそこかも！
いない…
どこにもいない…
会いたかった人に会えなくて
僕はうつむ来ながら教室へ向かった。
ラブレターの子はもっと辛いよな。
俺が悲しむ権利なんてないのに…
体育館と校舎を繋ぐ
空中廊下に差し掛かった。
ふと、前を向くと
遠くに
黒髪のショートボブの女の子が
髪を揺らしながら
走り去っていくのが目に入った。
もしかして、ラブレターの子って
その瞬間、
黒髪のショートボブとAの顔が合わさった。
Aだ。
そうわかった途端
数分前の自分を悔やんだ。
Aのことが気になってたから…
あの時イスに置いてあったラブレターには
名前がなかった。
でも、考えてみれば
何度も見た事のある字だった。
｢なんで気づかなかったんだよ…。！！｣
夏の生暖かい風が吹くだけの
空中廊下で
1人
泣いた。
Aとは最初
親友のような仲だった。
でも、毎日一緒に遊んだりしているうちに
Aに夢中になっていた。
それに気づいたのは
体調不良でAが休んだ日。
その日は学校に居ても、楽しくなかったし
家に帰ってもAのことばかり考えてた。
中学3年の春
それがきっかけで
自分のAへの気持ちに気づいた。
その時はとにかく
Aに振り向いて欲しくて必死だった。
今日、暇？
カラオケいこ？
駅前のパンケーキ屋さん行かない？
僕からしか誘ったことがなかったのに…
初めてのAからのお誘い
しかもラブレターでの…
僕だって会いたかっただよ。
ずっと
僕だって中学時代が青春ピークだったんだよ。
僕だって…
僕は
小さな歩幅で
一生懸命着いてくる
Aの横顔を見て
そう伝えた。
心の中で…
そんなことを考えていたら
いつの間にか、カフェに着いていた。
チリリリンッ
？？｢いらっしゃいませ！｣
｢2人です。｣
なんだか、聞き覚えのある声だったなぁ
そう思っていたら
ナムさんだった。
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作者名：はっさく | 作成日時：2021年2月23日 0時
