エピローグ【２】 ページ48
「ひとりで平気なのに。」
病院の裏口から中に入り、長い廊下を歩く。
今日はいつも付き添いをしているギータがいない。
一緒に仕事だった俺が代わりについてきたってわけ。
「みんな心配し過ぎだよー。」
茶化して笑ってはいるけれど、その瞳は寂しげに揺れる。
雅紀としては、やっぱり、あの十数日の記憶がないことが不安でたまらないんだよね。
「しょーちゃん...。」
突然立ち止まった雅紀。
「どした？」
隣に並び、その顔を覗きこむ。
不安気に俺を見上げ、ふるふると首を振った。
「いいから、言ってみろ。」
「..ん。」
「どした？気になるじゃん。」
「..ん。」
小さく息を吐いた雅紀。
もう一度俺に視線を戻し、それから口を開いた。
「いっつも迷惑ばっかり...。なのに、なんでみんなさ、そんなに、優しいの？
...オレ、わかんない。
忘れちゃったんでしょう？しょーちゃんのことも、にのも、りーだーも、まつじゅんのことも。
全部、忘れちゃったんでしょう？
なのに、なのに...」
「あ！雅紀くん。...あれ？今日はギータじゃなくて櫻井くんが一緒なの？」
診察室のドアが開き、顔を出したのは雅紀の主治医の先生。
「..あ！先生。お願いします。」
「よろしくお願いします。」
会話は途中のまま。
俺らは診察室の中へと入って行った。
・
今日も、頭部CT、その他、いくつかの検査をしたけれど。
特に異常はなくホッと一息。
「頭痛は？」
「しないです。」
「眩暈も？」
「しないです。」
「そう。それは良かった。まあ、まだ貧血気味だからね。そっちは注意して。」
「はい。」
診察を終えて、雅紀は奥の処置室で点滴をして帰ることに。
「帰っていいよ、しょーちゃん。」
ベッドに横たわり、袖をまくり細い腕を出しながら雅紀が言う。
「ふふ。どうせ、この後一緒だろ？みんな待ってる。」
「先に行ってて。」
「俺が行っても、なんの役にも立たないって(笑)」
「...もう。」
カーテンを閉め、診察室へと戻る。
待合室で待たせてもらおうと先生に頭を下げ出て行こうとした時。
「あ、櫻井くん。」
先生に呼び止められた。
「雅紀くん。元気ないね。」
「ははは。さすが、先生はお見通しで。」
「そりゃあね。付き合いは君たちよりも長い。」
「そうでした。」
「しっかり支えてやってくれ。」
「もちろんです。」
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あすぅぅ☆ - 何回泣いたか分からないくらい泣きました。こんなに感動したの久しぶりで…ありがとうございます!!!!!!!!!!!! (2014年11月17日 15時) (
レス) id: 3027382040 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 雅桜さん» 雅桜さん☆感想ありがとうございます。感動だなんて嬉しいです。短編集もゆっくりですが続けていますので、良かったら遊びに来てくださいね。 (2014年7月27日 22時) (レス) id: 290a5b010d (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - あやさん» あやさん☆感想、ありがとうございます。そしてお返事が大変遅くなりました。相葉ちゃんは、やっぱりミラクルが似合いますよね。 (2014年7月27日 22時) (レス) id: 290a5b010d (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - Emiさん» 感想、ありがとうございました。コメントの連絡を受けておらず、お返事が大変遅くなってしまい、申し訳ありません・・！他で短編集も書いていますので、お時間がある時に覗いてやってください♪感動だなんて、嬉しいです。 (2014年7月27日 22時) (レス) id: 290a5b010d (このIDを非表示/違反報告)
雅桜 - はじめまして!!雅桜です♪
とても感動しました。また、他の作品も読もうと思います☆ (2014年7月26日 18時) (携帯から) (レス) id: 2d0cf8d793 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アリス
| 作成日時：2014年2月11日 15時
