手放す【２】 ページ29
やがて先生がマンションに到着し。
毛布でくるんだ雅紀を抱きかかえ車で病院へと運ぶ。
俺が運転し、後部座席では先生の応急処置が進められていた。
「肺炎にはしたくないな。」
吸入をし、さっきよりは落ち着いて来た呼吸の音。
だけど、にのに凭れ掛かる雅紀の体は、まったくと言っていいほど力が入っていない。
ぐったりとして俺らの声にも反応を示さない状況に、不安だけが募って行く。
「雅紀！」
病院に着くと、すでに駆けつけていた雅紀の両親が走り寄ってくる。
「とにかく処置をしますので。控室でお待ちください。」
雅紀を抱えた松潤と先生が処置室へと入って行き、
俺らは看護師さんによって閉められた扉の前に立ち尽くした。
・
・
数時間後。
控室に入ってきた先生の姿に、その場にいた全員が勢いよく立ち上がる。
少し困ったように、そして悲しそうに瞳を揺らした先生は、
「体の方は落ち着きましたよ。幸い、手当が早かったので肺炎にもなっていないですしね。もともと熱は出やすい体質ですから、いつもの疲れによる発熱に、風邪が重なって重症化したのでしょう。数日、しっかりと点滴治療をすれば大丈夫。」
そう落ち着いた口調で話し始めた。
「ただ、ひどく頭が痛むようでね。眩暈もひどい。貧血だけが原因とは言い難い。...おそらく、必死に記憶を戻そうとしたことで脳に負担がかかったのでしょう。パニックから呼吸障害を起こす可能性が高いので、かなり強い安定剤を使いました。しばらくは目を覚まさないと思います。」
雅ママ「どの..くらい？」
医「そうですね。おそらく半日は。」
・
病室に移動した雅紀の様子を見に、俺たちも控室から移動する。
ショックから歩くのもおぼつかないにのを抱きかかえ、暗い病院の廊下を進む。
広い病室の奥。
ベッドに眠る雅紀。
駆け寄り、その体を抱きしめ泣いている雅紀の両親を前に。
俺たちは近寄ることも出来ず。
声を発することも出来ず。
病室に響く、
雅紀の早い呼吸の音と、
心電図の音を、
ただ、
じっと
聞いていた。
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あすぅぅ☆ - 何回泣いたか分からないくらい泣きました。こんなに感動したの久しぶりで…ありがとうございます!!!!!!!!!!!! (2014年11月17日 15時) (
レス) id: 3027382040 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 雅桜さん» 雅桜さん☆感想ありがとうございます。感動だなんて嬉しいです。短編集もゆっくりですが続けていますので、良かったら遊びに来てくださいね。 (2014年7月27日 22時) (レス) id: 290a5b010d (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - あやさん» あやさん☆感想、ありがとうございます。そしてお返事が大変遅くなりました。相葉ちゃんは、やっぱりミラクルが似合いますよね。 (2014年7月27日 22時) (レス) id: 290a5b010d (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - Emiさん» 感想、ありがとうございました。コメントの連絡を受けておらず、お返事が大変遅くなってしまい、申し訳ありません・・！他で短編集も書いていますので、お時間がある時に覗いてやってください♪感動だなんて、嬉しいです。 (2014年7月27日 22時) (レス) id: 290a5b010d (このIDを非表示/違反報告)
雅桜 - はじめまして!!雅桜です♪
とても感動しました。また、他の作品も読もうと思います☆ (2014年7月26日 18時) (携帯から) (レス) id: 2d0cf8d793 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アリス
| 作成日時：2014年2月11日 15時
