始まりの朝 ページ18
そして迎えた、共同生活最終日。
明日の朝、事務所社長含め幹部、それに雅紀の両親が来て。
今後について最後の話し合いをした後、俺らもこの場所から去ることになっている。
・
まだ暗い部屋の中。
音を立てないようベッドから降り、隣で寝る雅紀の顔を覗きこむ。
スヤスヤと眠るその姿に胸を撫で下ろす。
昨日、一昨日と、夜中に魘されている時間が長かった雅紀。
「ごめん・・なさい。・・・ごめん、な、さい・・。」
首を振り、ただ繰り返しながら涙を流し眠る姿に。
俺ら４人の胸は張り裂けそうに痛んだ。
「大丈夫。」
その一言が言えない自分達がもどかしくて悔しくて仕方なかった。
・
「・・あ。・・ぉ、はよ、しょー・・ちゃ・・。」
瞼を重そうに上げて、雅紀の黒目勝ちな瞳が俺を見つめる。
「おはよ。まだ早いよ。寝てな？」
寝起きでまだユラユラとしている瞳を覆うように優しく手を重ねると、
「・・んーん、起き・・る。」
舌ったらずな甘えたな声が聞こえてくる。
「そっか。じゃー、起きるか？」
コクンっと頷いたのを確認し、背中に手を入れゆっくりと体を起こす。
眩暈がするのはわかっているから。
起こした体をそのまま自分に引き寄せ、ゆっくりと背中を擦った。
「・・ありがと・・、しょー・・ちゃん。」
微かに聞こえた弱々しい声に、苦しくなる自分の胸。
ふぅーっと息を吐いて。
まわした手に力を入れる。
「オレ・・、しあわせだね・・。・・ホント、ありがと。」
この場でウソをつくことは、もう出来ないと思った。
なにも言わず、ただ頷くしかない俺。
「大事にしてくれて・・。ありがと。」
いっそ泣いてしまった方が楽なんだろう。
だって、こんなに苦しい。
けど。
「雅紀・・？」
「・・ん。」
「今日もさ。楽しい一日にしような。」
「・・ん。」
俺の首にまわされた、雅紀の細く長い腕。
最後の一日が、
長く、
一生忘れられない一日が、
始まろうとしていた・・・・・。
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あすぅぅ☆ - 何回泣いたか分からないくらい泣きました。こんなに感動したの久しぶりで…ありがとうございます!!!!!!!!!!!! (2014年11月17日 15時) (
レス) id: 3027382040 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 雅桜さん» 雅桜さん☆感想ありがとうございます。感動だなんて嬉しいです。短編集もゆっくりですが続けていますので、良かったら遊びに来てくださいね。 (2014年7月27日 22時) (レス) id: 290a5b010d (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - あやさん» あやさん☆感想、ありがとうございます。そしてお返事が大変遅くなりました。相葉ちゃんは、やっぱりミラクルが似合いますよね。 (2014年7月27日 22時) (レス) id: 290a5b010d (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - Emiさん» 感想、ありがとうございました。コメントの連絡を受けておらず、お返事が大変遅くなってしまい、申し訳ありません・・！他で短編集も書いていますので、お時間がある時に覗いてやってください♪感動だなんて、嬉しいです。 (2014年7月27日 22時) (レス) id: 290a5b010d (このIDを非表示/違反報告)
雅桜 - はじめまして!!雅桜です♪
とても感動しました。また、他の作品も読もうと思います☆ (2014年7月26日 18時) (携帯から) (レス) id: 2d0cf8d793 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アリス
| 作成日時：2014年2月11日 15時
