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声がする方を見てみれば、これまた式典の時にお世話になった赤髪の少年に会った。

「こんにちは。
勝手に触ってすみません。この子がとても綺麗だったもので、つい」


「いや、いいんだ。
第一その子は気難しくてね。僕としたことが少し驚いてしまった。
して、なぜ君はここに?」


そこからは息が合ったのか、するすると会話が続いた。
彼はリドル先輩で、エーデュースのいるハーツラビュル寮の寮長さんなんだとか。


「じゃあ先輩ってすごい人なんですね!
でもなんだろう、物知りで、話していて飽きないです!」


これは本心だ。
だって、四年制の学園で寮長が二年生なんて、かなり優秀なんだろうなって。

それに何も知らない私にじゃあこれも知っておいた方がいい、と
いろいろなことを短時間で教えてくれた。


すると彼は顔をそむけてしまった。
耳を赤くしているのがわかる。


「そ、そんなに褒めても何も出てこないよ。
それに、、、、僕たち、少し距離が近くはないかい?」



言われてみればそうだという気もしなくないが、
でもいつも二人とはこの距離感だけどな?と疑問に思ってしまう。

特に意識してみたことはなかった。


「本心ですよ。やだなあ、見返りなんて何も求めてないです。
ただ話しているだけで私は楽しいんですから」


そう伝えれば、
ぼそりと


「みんな僕のことを恐れて近寄らずに逃げていくのに、君はおかしな人だ」


とつぶやかれた。

おかしいとは失礼な。



「だってわたしリドル先輩のこと普通に好きですから」


いつまでもこっちに顔を戻さない先輩をおちょくってやろうとしたら、
全顔を耳まで赤くした先輩が尋常じゃない速さで振り向いた。


「あ、やっとこっちむいた」


「ッッ!!??
っす、好きだって?」


「そうです。友達としてね」


「友達、、、?」


「そうです。
だってもうこれは知り合いなんてよそよそしいレベルじゃないでしょ。」


「そうか、、、、。
僕たちは友達か。」


リドル先輩は何回も友達という言葉を繰り返し呟いた。
噛み締めるように何度も。

その顔はとても嬉しそうだった。





「あ、いけない。そろそろ帰らないとグリムがめんどくさくなる。
先輩ありがとうございました。

続きはまた今度に」


足早にそれだけ告げて、寮への扉へと急ぐ。
せっせと掃除しなければ。

今日はあの部屋片づけよ、などと割とどうでもいいことを考えていた。



***



「そろそろ出てきたらどうだい。アズール
盗み聞きとは趣味が悪いよ」



一連の会話を途中からアズールという人が聞いていたことを
私は知らない。

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きのこ - 初見ですがコメ失礼します!いきなりですが、何この神作!?って思いました(笑)いやー最推しのジェイドくんにオクタヴィネルの二人が凄い出てきてくれて、ファンの私にはとても有難いです!!これからも応援してます!頑張って下さい!! (2020年10月13日 3時) (レス) id: 2a559184c7 (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - ちりさん» ちりさんはじめまして!コメントありがとうございます!私の妄想文字起こしが目に留まったようで嬉しいです!どうしようもなく闇の夢女子なので暗くなりがちですが、有りだなと思って頂けたら幸いです〜! (2020年9月14日 7時) (レス) id: 0ebe25b1eb (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - アットさん» アットさんはじめまして。コメントありがとうございました!キタニタツヤさんの世界観が大好きでして、、、とても影響を受けております!そういう思想感が根底にある、私の妄想文字起こしです。笑 (2020年9月14日 7時) (レス) id: 0ebe25b1eb (このIDを非表示/違反報告)
ちり(プロフ) - 初めまして!!これから読ませて頂きます!!魔法の無効化。つい学園アリスとゆう漫画を思い出しました!笑。めちゃめちゃ話の内容が好きです!すでにこの小説大好きになってます笑。今後も更新頑張ってください!(^ ^) (2020年9月14日 1時) (レス) id: 61ff0dc64e (このIDを非表示/違反報告)
アット - 思考を休めるな、脳みそを回せ…悪魔の躍り方!? (2020年6月11日 19時) (レス) id: bce4268e03 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハク | 作成日時:2020年4月19日 3時

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