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そして闇の鏡が再度ひとりでに話し出す。
「_____加えて申す。
しかしながら汝はいわば無色透明。何色にも染まることができる原石。
女性であることが悩ましいが。」
学園長は焦っていた。
「魔法が使えない人間を黒き馬車が迎えに行くなんてありえない!
しかも女性ですって!?この男子校に!?
生徒選定の手違いなどこの100年ただの一度もなかったはず。一体なぜ?」
そう、今まではこの服のフードを深く深く被っていたため気づかれなかったのだ。
周囲がざわめく。
我慢できずに学園長の拘束から何とか抜け出し、グリムがだったら自分を入学させろという。
自分は魔法を使えるんだと。
そして先程同様、青い炎を辺りに噴出して見せた。
熱がっている人が見受けられるがやはり自分は熱くない。燃えている部分が一つもない。
鏡に言われた通り自分は魔法が使えないが、
それに対して自分が燃えていないことはとてもラッキーだな、くらいに思っていた。
しかし会場は大混乱。
学園長が自由に炎をまき散らすグリムを捕まえろと指示し、二人の男性がグリムを捕えるために追い詰めていった。
可愛そうに。
私だってもしも魔法が使えたのならそんな名門校に入りたいに決まってる。
あの狸は、彼はこんなに立派に魔法が使えるのに、何で入学を認めてもらえないんだろう。
まあ、私はその魔法で燃えたりしないんだけど。
明らかに上級生であろう二人に魔法を放たれ追い詰められ、逃げ惑うあの子を見ていられなくなった私の体は、あの子を助けるために動いていた。
「ごめんなさい、通して」
「ああちょっと貴女!!!
魔法も使えないのに危ないですよ!!!」
何人かの取り巻きの間をくぐりぬけて、端まで追いつめている上級生二人の間にも割って入る。
「先輩方ごめんなさい、少し通してください」
ふたりはいつの間にか自分たちの背後にいたことに酷く驚いたようだった。
「君、魔法が使えないんだろう?しかも女性だ。下がっていたまえ」
赤髪の少年が紳士的に言う。
「貴方のような部外者が勝手に立ち入られては困ります。
お門違いだ。」
紫がかった灰色の髪をした眼鏡の少年が言う。
そしてその顔を見た時に何かを感じた。
でも思い出せなかったのでこの時は気にしなかった。
「フナッ!!お前も邪魔するなら燃やしてやるんだゾ!!!」
威勢を張っているグリムは私の返事を待たずに炎を吐く。
「ッ!?君!!」
「ちょっと貴女!?」
焦った声が後ろから聞こえる。
大丈夫。だって現に私は燃えてないんだから。
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きのこ - 初見ですがコメ失礼します!いきなりですが、何この神作!?って思いました(笑)いやー最推しのジェイドくんにオクタヴィネルの二人が凄い出てきてくれて、ファンの私にはとても有難いです!!これからも応援してます!頑張って下さい!! (2020年10月13日 3時) (レス) id: 2a559184c7 (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - ちりさん» ちりさんはじめまして!コメントありがとうございます!私の妄想文字起こしが目に留まったようで嬉しいです!どうしようもなく闇の夢女子なので暗くなりがちですが、有りだなと思って頂けたら幸いです〜! (2020年9月14日 7時) (レス) id: 0ebe25b1eb (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - アットさん» アットさんはじめまして。コメントありがとうございました!キタニタツヤさんの世界観が大好きでして、、、とても影響を受けております!そういう思想感が根底にある、私の妄想文字起こしです。笑 (2020年9月14日 7時) (レス) id: 0ebe25b1eb (このIDを非表示/違反報告)
ちり(プロフ) - 初めまして!!これから読ませて頂きます!!魔法の無効化。つい学園アリスとゆう漫画を思い出しました!笑。めちゃめちゃ話の内容が好きです!すでにこの小説大好きになってます笑。今後も更新頑張ってください!(^ ^) (2020年9月14日 1時) (レス) id: 61ff0dc64e (このIDを非表示/違反報告)
アット - 思考を休めるな、脳みそを回せ…悪魔の躍り方!? (2020年6月11日 19時) (レス) id: bce4268e03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハク | 作成日時:2020年4月19日 3時