ワールドトリガー【短・中編集】 (ページ9)

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才能は遠い存在だと思っていたAは、聞こえてくる言葉に、思わず顔を上げた。

この言葉は二宮の本心であることは、間違いない。

それでもAは複雑な心境のままだった。

「ミスをしなければ、もう少しお役には立てるかと思います…。でも緊張しちゃってどうしても手が震えてしまうんです。なのでこれ以上迷惑はかけたくなくて…」

二宮は「そうか。」と相槌を打つとそのまま椅子に座り足を組む。

「辞めたければ勝手にしろ。

ただな、この部隊(チーム)には俺がいるんだ。緊張する必要なんてないだろ」

「……！！」

二宮さんの実績と実力が、その言葉をどんな言葉よりも力強いものにした。

Aと二宮との会話を恐る恐る聞いていた3人だったが、空気が変わったのを察してAの元へ寄る。

「私たちもちゃんとサポートするからね」

「そうだよ、Aちゃん。二宮隊(うち)はちゃんと強いからさ」

「俺に出来ることあったら言ってね」

素敵な先輩たち3人と

「才能があるからAを誘った。才能がないやつは端から誘わない」

かっこいい隊長

そんな隊に今いれている幸せで、突っ立ったままのAの眼から、涙がポロポロと落ちる。

二宮は自身の指で、Aの涙を一度だけ拭う。

「頑張れるか？」

「まだ私がいていいのなら…一緒に戦わせてください！！」

私はこの日、この部隊(チーム)に全てを賭けると誓った。