ワールドトリガー【短・中編集】 (ページ5)

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本部内を歩いていたら、いつも追っかけている背中を見つけた。

「Aせんぱ〜〜〜い！！！」

早く気づいて欲しく両手をブンブン振りながら、全力で走る。

おれに気づいた先輩は、振り返るとニカッと笑って手を振り返してくれた。

「わかったから、そんな走ってると危ないよ〜！！」

「大丈夫ですってぇ〜！」

先輩は、いっつもおれを子供扱いをする。

(おれだって男なのにぃ〜)

そんなことを考えながら走っていた時、気づいたらおれの両足は地面から離れていた。

「わっっっ！！！」

　ブチュ

「「……！？！？！？」」

ﾄﾞｻｯ

唇に柔らかい感触を感じたと思ったら、目の前には真っ赤な顔をした先輩がいた。

「かっ、可愛い…！じゃ、なくって…す、すすすすすみませんんんんんんん」

(おれ今ちゅーしちゃった！！ちゅーしちゃった！！)

「だ、大丈夫だから、どこっか…？」

今は、おれが先輩を床ドンしている状態だった。

「あ、わっ、ごめんなさいいいいい、今すぐ退きますんで…！」

慌てて立つが壁にぶつかり尻もちをつく。

「痛たたたた…」

「ほんと危なっかしいね、太一は！」

そう言って微笑みながら手を差し出してくれる先輩。

「うぶぶ…。だっておれ…A先輩と、ちゅ、ちゅ…ちゅーしちゃったんですよおお！！」

その手をゆっくりと握りながら、焦ってる言い訳をする。

「もう、言わないでそれ………」

でもその言い訳は、先輩にとって思い出したくないことだったようで、俯いてしまった。