ワールドトリガー【短・中編集】 (ページ19)

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「んッ」

カラカラと音を立てた激しいキスとは反対に静かに離された唇。

Aはただその唇を目で追うことしかできない。

「美味しい飴ちゃんありがとなぁ」

べーっと出した水上の舌の上には、先程までAの口の中にあった飴が乗っていた。

「ちょ、な、な、何してんの！！」

やっと今起こったことを理解できたAは、真っ赤な顔して水上に問いかける。

「飴ちゃん貰っただけやん。散々俺からお菓子取ってるくせにだめなん？」

「そう言うんじゃないでしょ！き、キスしたじゃん…」

「あー、それか。嫌やったか？」

全く変わらない水上の表情を見て、背中を向けるA。

「何でそんな平然としてんの、むかつく。嫌い！！」

水上は「おい」とAの肩を強く引き、逸らしている顔を覗き込む。

「ほんまに俺のこと嫌いなん？そんな顔には見えへんけど」

「嫌いだもん。

私にばっか意識させて…嫌い！大っ嫌い！！！」

その言葉を聞きニヤッと笑う水上。

(やっと意識しよったか、こいつ)

「嫌いやったなら謝るわ。

まあ、俺はずっと意識しとったけどな」