言わせたがり。 (ページ7)

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▽新クラスページ7

赤side

錦戸亮は中学の頃からの後輩、人懐こい性格でありめっぽう寂しがり屋でめんどくさい。

でも頼れる後輩でもあってたまに軽音部に顔を出しては、ギターを弾いて練習に付き合ってくれるのはありがたい。

ほんまは練習試合の応援なんていくらでも行って近くで応援してあげたい気持ちもある、でもそんなんがヨコにバレたら後が怖い。

もう怒らせたくない、もう嫌やねん。
花火大会の日のことを思い出すと寒気が止まらないし、震えが止まらなくなるくらい怖かった。

だから亮とは距離を置く。

「じゃあ3年の教室こっちやから、またね」

「あ、また暇があったら軽音部にも寄ってええ？」

軽音部。ヨコが入部しようか悩んでいたのを思い出す。

「ん…程々になら、亮はバスケ部に集中した方がええよ」

遠回しに来ないでと言うけど、これはきっと亮には伝わってない。

手を振って別れると新しいクラスに向かう。ヨコとは隣のクラスになって小さな休み時間も私のクラスに来そうなんて呑気に予想する。

新学期の時間割りはほとんど授業中が無くて自己紹介や授業の流れを説明して終わることが多い。
そんなのいちいち聞くのは退屈過ぎて眠くなる。

(……つまんな)

朝のトラブルみたいなのはゴメンだが、こうして何の意味もなく時間が過ぎて行くのはもっと嫌だと感じてしまう。

時間が経ち小腹が減って飴をころころ舐めてると、ふと隣の男子生徒と目が合った。

教卓では担任の先生がなんか喋ってるから小声で隣の男子に話しかけてみる。

「ね、君の名前教えて」

「えっ…と安田章大って言います」

「安田くんね。渋谷すばる、よろしゅう」

挨拶と同時に手を差し出すとちょっと戸惑ってたけど握手してくれた安田くんの手は暖かい。
人が良さそうな男子で宿題とかも見せてくれそうやな。

ふふっと思わず笑ってしまい手を離すと、相手も照れたように目線を外す。

こんな童貞みたいな態度を取ってるのに髪はきらきらと金髪でギャップがすごい奴やなって、さらに安田に興味も持つ。

「安田ってすごい大人しそうなのに髪は金髪なんやね。校則違反にならへんの？」

「え!?ここって頭髪検査あんのｯ?!?!」

2年間も過ごしてて頭髪検査のことを知らない安田はただのド天然だった。

不安そうに大丈夫かなって聞いてくるから「似合ってるからええよ」って返事を返すと安田は表情を変えて今度は嬉しそうな顔をしていたのは可愛いと思う。