言わせたがり。 (ページ3)

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▽S×S ページ3

赤side

「…マジで言うてんのかヨコ」

「嘘に聞こえたん？ずっと一緒にいるんやからお前も分かっとるやろ」

分かってる、でも分かりたくなかった。
ヨコは今まで運動神経が良いからバスケ部に入って活躍しているのはよく耳にして幼馴染として誇りに思っていたのに、急に辞めてしまうんか。

「そっか、じゃあバスケ部辞めるか。…そっか」

眉を下げて落ち込んでいるような仕草をすると頭をわしゃわしゃ撫でられる。

本音はと言うと、死ぬほど軽音部に来て欲しくないだけで。
まず今は3年生で活動時間なんか殆ど無いし、またヨコと共にいる時間が増えて憂鬱になる。

高校だってヨコから離れるために実家を離れて寮付きの学校に入学したのに、どこから知ったのか私と同じ高校を受けてヨコは寮じゃなくて一人暮らしをしていた。

近過ぎると逃げたくなるタイプの私は1回だけヨコにはっきり言ったことがある、しばらくの間離れていようって。

そんな言葉はヨコには虚しくも上手く伝わらず、1日に1回はLINEがきて正気を疑う。

「でもヨコって楽器とか興味あったっけ」

「微塵もないけど」

じゃあ何で、なんて返事が分かりきった質問はアホみたいだからこの話は流した。

「ヨコ、やっぱり今日は寮に戻るわ。春休み中の課題あったの忘れてた」

「…わかった。じゃあ寮まで送ってこうか？」

「いや、ええよ。もう近くやから!」

繋がれていた手を離して、曲がり角まで走り抜ける。その時のヨコの顔は怖くて振り向けなかったのは相当きている。

寮に着くと安堵する気持ちとは他所に、スマホが震えてヨコからLINEがきていた。

「もうええ加減にしてよ…」

ヴーヴーと振動を続けて通知が来たことを知らせるスマホの電源を落として、ベッドに飛び込んで現実から逃げるみたいに深い眠りについた。

だれかたすけて。