メール ページ3
・
数時間後、家入硝子の元にひとつのメールが届く。
ベッドに横になって携帯をポチポチといじっていた彼女は自分と同級生で同性ということもあり仲良くしている平岡Aからの突然のメールに迷うことなく開くボタンを押した。その内容を見て、硝子は思わず「ぶっ」と吹き出してしまった。
その内容はこうだ。
『傑と喧嘩して嫌いって言ったら傑泣いちゃったんだけどどうしたらいいと思う!?』
恐らく奴が泣いてパニクってるんだろうなぁ、と思いながら硝子は返信を打ち始める。カチカチカチと止まることなくボタンを押す音が静かな部屋に響き、操作に慣れていることが窺える。
『なんで喧嘩したのか知らんけど、取り敢えず謝ってみればいいんじゃない?あとその時の状況詳しく』
送信、っと、と。硝子はAに返信を送った。
さぁ、明日が楽しみだ、と彼女は一人にやりと笑みを浮かべた。
*
「でね、私もだんだんイライラしてきちゃって、つい勢いで『嫌い』って言っちゃったんだよね。そしたら傑がポロッて泣いてて」
「ぶっ、あっはははははは」
翌日。傑との喧嘩のことを硝子に話すと、硝子はお笑い番組でも見ているのかというほどに大爆笑した。私はそのあまりの大きな声に「シーッ!」と人差し指を口元に当てて硝子を制止する。
「あんまり大きい声出さないで!傑が来たらどうするの!」
「だーいじょうぶだよアイツら来るのいつも遅いし」
高専に登校してすぐ、私と硝子はいつもより早めに教室に集まっていた。傑と悟はまだ教室には来ていない。私はこそこそと噂話をするみたいに硝子にことの次第を話していたのである。
「もう……私……今日傑にどんな顔したらいいのか分かんないよ……」
「まぁ、一言謝ってみればいーじゃん。アイツのことだ、素直に受け入れるだろ」
「そうかなぁ、でも、泣いてたんだよ?」
昨日の傑の泣き顔がまだ頭から離れない。
あの後、すぐに傑の部屋に行って謝りに行った方がいいのではないかとも考えたのだけれど、傑が泣いたことがあまりにも衝撃で、もう許してくれないんしないかと思って怖くて行くことが出来なかった。
もう君のことなんて知らない。君のことなんて嫌いだ。そんなことを言われてしまったら、私はきっとその場で大号泣してしまう。
……傑も、同じように悲しかったのかな。
私に嫌いって言われて、悲しかったのかな。
そんなことを思ったら、謝りたいと思うのと同時に、何も言えないような気がしてきてしまう。言葉が萎んでいくような感覚がしてしまう。
304人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翠(プロフ) - はああああほんっっっとに…癒されました……ありがとうございます……… (2023年1月7日 23時) (レス) @page9 id: 375689edf5 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 夜顔さん!コメントありがとうございます!夏油さん泣いちゃったら可愛いなぁというだけで書いてしまったのでどうなることやらでしたがなんとか完結出来て良かったです!(笑)こちらこそそんな風に言って頂けて嬉しいです!読んでくださりありがとうございました!! (2022年1月23日 11時) (レス) id: 4cbec933ab (このIDを非表示/違反報告)
夜顔(プロフ) - 夏油様が可愛くて格好良くて萌え死にそうでした😆こんな良い作品をありがとうございますっ! (2022年1月23日 4時) (レス) @page9 id: a5b9bd8745 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2022年1月21日 13時