なんてことのない喧嘩だった ページ1
・
「もう！知らない！傑なんて嫌い！！」
なんてことのない喧嘩だった。ちょっとした言い合いから始まって、そしたら過去のことまでお互いに持ち出して、そうやって発展したものだった。
傑があぁじゃないこうじゃない、そんなだから君は、だとか、あの時も君はこうだった、だとか、そんなことばかり言ってくるから。私もだんだん言い返せなくなっていって、押し黙った末に言ってしまった言葉だった。
そんな風に言わなくたっていいじゃないか。私にだって私の言い分があって、譲れないものがあって。それなのに、傑が捲し立てるようにお説教するから。だから私だって嫌になって、そんなことを言ってしまったのだ。
ふい、と顔を背ける。もう傑のことなんて知らないんだ。傑がどうしようが、何処へ行こうが知らない。こうなったら、謝ってくれるまで許してあげないんだから。
そんな意地を張っていれば、しん、と静まり返った部屋。
何かまた言い返してくるかな、そう思っていた。
なのに、一向に傑がこちらに何も言い返してこない。時計の針が進む音ばかりが部屋を満たしていて、気まずい空気が流れている。沈黙ってこんなに重たいものだったのか。これだったら何かしら言い返してくれた方が気が楽だったかもしれないな、なんてことを思う。
傑はいまだ黙り込んだままだ。
どうしたんだろう。怒って呆れて、肩を竦めているのだろうか。どうして今までこんな奴のことを好きだったんだろうと思われてしまっただろうか。それだったら困るな。そう思って、ちらり。傑の方に目を向けた。
すると。
「え」
初めて見た。
「ッ……」
傑が泣いていたのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 304人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翠(プロフ) - はああああほんっっっとに…癒されました……ありがとうございます……… (2023年1月7日 23時) (
レス) @page9 id: 375689edf5 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 夜顔さん！コメントありがとうございます！夏油さん泣いちゃったら可愛いなぁというだけで書いてしまったのでどうなることやらでしたがなんとか完結出来て良かったです！(笑)こちらこそそんな風に言って頂けて嬉しいです！読んでくださりありがとうございました！！ (2022年1月23日 11時) (レス) id: 4cbec933ab (このIDを非表示/違反報告)
夜顔(プロフ) - 夏油様が可愛くて格好良くて萌え死にそうでした😆こんな良い作品をありがとうございますっ！ (2022年1月23日 4時) (レス) @page9 id: a5b9bd8745 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ピピコ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時：2022年1月21日 13時
