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私の大好きな姉さん〜萩原千速 ページ10

姉さんは可愛い人だった。
見た目もそうだが性格がなんとも愛らしい人だった。

だが、周りは姉さんの良さを理解しない。

「本当に千速ちゃんは可愛いわね?それに比べてAちゃんはなんていうかねぇ?」

「同じ姉妹なのに全く似ていないし、どんくさいし、影も薄いし」

何も知らない近所の人達は好き勝手言っていた。

「外でも遊ばないし、我儘も言わないし不気味よね」

「千速ちゃんと並ぶと…ねぇ?」

聞こえないと思っているのか?
これ見よがしに姉さんの悪口を言って差別するようなことを言う。


姉さんが外で遊ばないのは私が小さい頃、熱を出していたせいもある。
元気になった後は研二が生まれて母さんはイライラしていた。

家が自営業で忙しくて、姉さんが面倒を見ていた。
研二が泣けば。


「A、研二を泣かせないでよ!お姉ちゃんでしょう!」

こんなのは日常茶飯事だった。
姉さんの誕生日も仕事が忙しくて祝ってもらう事はあまりない。

我儘も言わない姉さんに甘えっぱなしだった母さんは知らない。


「ふぇ…私の誕生日だったのに」

一人で泣いているのを知ったのは偶然だった。


「約束したのに…お母さんは私が嫌いなんだ。だから怒るんだ」

姉さんが泣いているのを見て私はただ見ているだけだった。


まだ幼かった私は何もできなかった。
だから姉さんを笑顔にしようと思って五歳の頃、姉さんの好きな花を見つけた。

だけど。


「千速!そんなに泥だらけになって…」

「おかーさん」

「A!何でちゃんと見てなかったの!服が泥だらけじゃない」

「ごめなさい」

「忙しいのよ!お母さんの手を煩わせるようなことはしないで」


違う。
私が姉さんを笑顔にしたくて勝手にしたのに。

「おかーさん、ちがう…私が悪い」

「罰として部屋にいなさい!」

理不尽する言葉。
私がした事は今回の事に限らずすべて裏目に出る。

姉さんの手伝いをしようお皿洗いをすれば。


「A!千速を何でちゃんと見てなかったの?お姉ちゃんでしょ」

「お姉ちゃんなのよ!」

何をしてもお姉ちゃんだからと多くを求めて来た母さん。
日に日に姉さんは笑わなくなった。

そしていつの日か姉さんは母さんと距離を置き始めた。


「千速、お母さんは忙しいの」

「でも…」

「私はもういいの」

母さんに何も期待しなくなった。
近所でも何を言われても笑っていたが傷ついていた。

2→←天使は悪魔〜萩原研二



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あまね(プロフ) - おわり、おわり? (9月2日 18時) (レス) @page18 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
いちごたると - この小説を見てから赤井さんがより、好きになりました!次の更新を楽しみにお待ちしています! (7月28日 20時) (レス) @page18 id: b5c5dc5e77 (このIDを非表示/違反報告)
- 超面白い (7月22日 12時) (レス) @page18 id: 402cfc006e (このIDを非表示/違反報告)
未汽 - 面白いです! 頑張ってください。  (7月16日 21時) (レス) @page18 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
海月舞(プロフ) - 誤字報告です。了承が寮死傷になっています (5月27日 10時) (レス) @page3 id: 1f3850c98d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ししゃも | 作成日時:2022年6月10日 13時

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