贈り物がオルゴール ページ15
全てが順風満帆とは言い難いけど。
それなりに充実していた私は忙しい日々を送りながらも青春を謳歌していた。
そんな中もうすぐ快斗ちゃんのお誕生日だ。
「まーちゃんお誕生日おめでとう!」
「ねーね!」
現在幼稚園に通う真純ちゃんは好奇心逢瀬で元気いっぱいに育ってくれた。
「ありがとうA」
「いいえ」
「それに引き換え、あの馬鹿息子は妹の誕生すら連絡をよこさんとは」
メアリーさんと秀ちゃんは喧嘩絶賛中だ。
日本に帰国しても世良家に立ち寄る事もないのだけど、会っても取っ組み合いの喧嘩ばなりだった。
「きちにいちゃん?」
「違うのよまーちゃん。きーちゃんじゃないのよ」
ある意味似た者同士だから衝突はするのだけど、言いたいことを言い合えて羨ましいな。
「私は仲が良い親子関係だと思います」
「A?」
「だって、言いたいことを言いあ合っても繋がっている」
私はどうなんだろう?
あの日から私にとってあの人達は親であっても距離がある。
前世を思い出したあの日から
だけど双方の思いがある。
「A…」
「どうして良いか解りません」
千速もなんとなく察しているけど、研二には言えない。
「秀ちゃんももっと我儘を言って困らせるぐらいしろというんですが」
「あの馬鹿息子にしては真面な事を言う…だが、Aにはできないだろう。だからここで我儘を言いなさい」
「え?」
「娘が母親に遠慮する理由が何処にある」
私を抱きしめてくれるメアリーさんは本当に大きい人だ。
「メアリーさんがお母さんだったら良かったのに」
「そんなことを言うと伯母上殿が悲しむぞ」
「…はい」
そうだ。
母親ではないけど母代わりをしてくれた伯母さんを思い出す。
「笑顔でいなさい」
「はい」
「ねーね!ぼくがねーねをまもってあげる!」
「ありがとうまーちゃん」
私は恵まれている。
そうよ、まだ大丈夫だわ。
もう少しだけ頑張ってみようと思った私は希望を捨ててなかった。
「そうだ、まーちゃんにプレゼントがあるのよ」
「なぁに!」
「これよ」
手作りで作ったオルゴールだ。
「わぁ!綺麗…」
「アンティーク?」
「そうです。まーちゃんの為に作ったのよ」
「わぁ!ありがとう」
オクレール先生に作曲の勉強をするように言われていたけど、こういう物作りが好きだった私はオルゴールを作る勉強もした。
私の力作だわ。
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あまね(プロフ) - おわり、おわり? (9月2日 18時) (レス) @page18 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
いちごたると - この小説を見てから赤井さんがより、好きになりました!次の更新を楽しみにお待ちしています! (7月28日 20時) (レス) @page18 id: b5c5dc5e77 (このIDを非表示/違反報告)
葱 - 超面白い (7月22日 12時) (レス) @page18 id: 402cfc006e (このIDを非表示/違反報告)
未汽 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月16日 21時) (レス) @page18 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
海月舞(プロフ) - 誤字報告です。了承が寮死傷になっています (5月27日 10時) (レス) @page3 id: 1f3850c98d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ししゃも | 作成日時:2022年6月10日 13時