【松田陣平】奥様は今日もペンで切り込む！ (ページ3)

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誘拐された時に私は高熱を出し、手荒な真似をされたことで全てを思い出した。
この世界が犯罪都市である事を。

誘拐は優秀な刑事さんのおかげで大事には至らなかった。

「可愛いお嬢さん。もう大丈夫ですよ」

至らなかったと思いたい。

「怪盗キッド！」

「おや。思った以上に早かったですね」

私を助けてくれたのは伝説の怪盗様だ。
このワイルドな声は一世だ！

「はわわ…」

「大丈夫ですよ可愛らしいお嬢さん。こんなに可愛らしいお嬢さんを攫うとは言語道断。悪党はあそこに」

「くっ…今回だけは礼を言う」

「可憐な花に乱暴を働くとは許しがたきことです」

気障だ。
他の男が言えばキモイ。

でもこの人なら許される。

「それで可愛いお嬢さん」

「待てキッド！」

「よせ。今回は見逃せ中森」

「…はい」

警部さんらしき人は今回だけは見逃したのは私を助けてくれたからだ。

でもその後が大変だった。

「翠ぃぃぃ！」

「私の妹を誘拐した男は何処だ！今すぐバイクで潰してやる！いや私が直々に…」

わぁお。
二人が恐ろしい形相。
特に後の風の女神は風神、雷神様顔負けだった。

「大丈夫か翠！」

「じんぺーちゃん」

「怪我してないか？」

「大丈夫。キッド様が助けてくれた」

「あ？」

カッコいい。
前世の頃から大好きだったキッド様に助けて貰った私の心は興奮していた。

そしてその後熱を出して倒れて三日間寝込んだのはまた別の話だった。