3素敵なった君萩原side ページ10
去って行くAちゃんを見て俺はその背中を見送るしかできなかった。
「Aちゃん前より綺麗になっていたな」
「おい」
「何ていうか大人になってた…」
昔のAちゃんと変わってた。
傍若無人な所は変わらないけど、少し柔らかくなったな。
「Aさん、素敵です」
「何所がだよ」
陣平ちゃんは拗ねていたけど、あの時殉職したって知らされた時一番落ち込んでいたからな。
「Aさんは優しいんですよ。男性以外にですけど」
「そう…なんですか？」
「ええ、以前も殺人犯の容疑者にされた常連さんがいて、質の悪い弁護士さんが一方的に犯人扱いをしたんですけど。Aさんが真犯人をみつけて千切っては投げ、千切っては投げ無茶苦茶にしたんです」
「そいつ哀れだな」
うんうん、Aちゃんは曲がった事は嫌うし。
昔からか弱い女の子の味方だったな。
「私の母が病気になった時も気にかけてくれて…本当に優しい人でした」
「そうでしたか」
「だけどAさんは弱みを見せられないようで…唯一弱みをみせれるのは恋人だったらしいんですけど」
謎の恋人か。
あのAちゃんが心底ほれ込むぐらいだから相当良い男だったんだろうな。
「Aさんは遠距離恋愛をしていた恋人をずっと待っていたんです。なのに別れてしまって…仕方ないってっていたんですけど」
「どうして別れたんでしょうか？」
「さぁ？でも、嫌いで別れたんじゃないと思います。だって…Aさんはその人の思い出を大切にされているようでしたから」
「思い出？」
Aちゃんの大切な思い出って。
「Aさんがつけている髪飾りです」
「ああ、あれ？」
「あの髪飾りはかつての恋人から貰ったと聞いています」
あの子供がつけるようなあれ？
そう言えば警察学校時代も身に着けていた気がする。
「結構ロマンチストなんですよ」
「へぇー…でも、赤よりも青色の方が似合うと思いますけど」
いや、青って自分の色だろ？降谷ちゃん。
「Aさんは青い色は好まないんですよね」
「梓ちゃん、さりげなく酷いね」
降ちゃんが泣いているよ。
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作者名：ししゃも | 作成日時：2022年5月18日 17時
