1小さな審神者と裏事情 ページ4
西暦2205年。
歴史修正主義者を名乗る時間犯罪者達は正しい歴史への修正を標榜し、時間遡行軍を編成、文字通り時間遡行を繰り返しながら我が国の歴史への攻撃を開始した。
対峙する時の政府は時間遡行軍を追伐するために、「審神者」なる者を派遣し、すべての歴史の守りとした。
しかし時間遡行軍は標的を審神者に代え、戦いは悪化の一途をたどった。
そこで時の政府は審神者を戦場に向かわせることを決断した。
時間遡行軍を隠滅し、歴史を守る為に派遣される審神者の条件は。
過去に戦場で生きた者。
動乱の時代を生きた魂を持つ者を探し出したのだ。
その人物は――
「この子を、戦場に？嫌でございます」
福島県若松市会津。
美しい自然が溢れ、伝統芸能が盛んな地でもある。
その福島家一の名家、松平家にて重い空気が広がる。
「きゃっ！きゃっ！」
「この子は生まれて間もないのですよ…それを戦場に放り込めと！許しません！」
一人の女性が時の政府の使者を睨みつける。
「このような幼き子をに死ねと？随分と惨い事をするものだ。あげくに我が松平家の分家に当たる娘を選ぶとは随分と舐められた者だ」
「おっ…お待ちください！」
「この化け狐め！貴様はAを食い殺す気だな…今すぐ成敗してくれる！」
政府の使者と同行したしゃべる狐こと管狐は怯えながらもなんとか落ち着いてもらおうとするも、誰も聞く耳は持たない。
「いいか、この子は戦場に行かせぬ。そんな血なまぐさい場所に女を行かせる等言語道断だ」
この家の若き主松平容保は真面目で女子供は守る者だと言う考えを持っていた。
松平家は関東を代表する名家中の名家で祖先は警察庁長官を務めた者もおり、華族の血筋を受け継いでいる。
そんな彼等を敵に回す事は危険な行為だったが…
「これは政府の決定です。逆らえば逆賊となるでしょう」
「なっ…この狐」
「言わせておけば」
堂々と脅迫する役人に失言に耐え切れなくなった容保の義姉は奉納されている刀を掴んだ。
「だぁー！」
「A、心配しなくてもいいですわ。私が守って上げます」
抱かれたままの赤子はその刀に触れた瞬間。
桜が舞った。
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作者名：ししゃも | 作成日時：2021年11月26日 12時
