序章 ページ2
時は幕末。
激動の時代に討幕派と幕府派に別れ。
国が二つに割れてしまった。
薩長同盟が結ばれる中、幕府側は圧倒的振りな状態に陥り誰もが幕府を見捨てようとした。
そんな中、一人の男は最後まで幕府を守る事を誓った。
名を松平容保。
会津藩主で、幕府の最後の守りでもあり、京の守護職を命じられていた。
当時は京の治安が余りにも悪く、市中を警護できる組織。
新選組を作るも、彼等は武士にあらず。
町人からも疎まれ、怖がられていたが、そんな彼を陰から支えた者がいた。
名を藤咲A。
文武両道で、医学の知識を持ち学問を心から愛し、楽士としても素晴らしい腕前を持つと評判だった。
男気がありながらも、心優しく。
寺子屋に通っては子供達に文字の読み書きを教える大変人徳者であったが。
男気が良すぎて島原では芸妓達の争いの種に修羅場があった。
そしてそれは女性だけではなかった。
「ようやく俺の妻になる覚悟ができたか」
かの鬼の長ですら魅了してしまうのだ。
「覚悟も何もありません」
「照れることはない」
「そもそも何度も言いますが私は男です」
「珍しいことではあるまい」
人の話を全く利かず、相手の気持ちはおかまいなしのこの鬼は欲しいとなればどんなものでも手に入れようとする。
「保護者の方。今すぐ連れて帰ってください。屯所が真っ赤に染まる前に」
「申し訳ありません」
「悪いな」
背後にいる保護者組に押し付けようとしたのだが…
「風間は放っておいて今から逢引きしようぜ」
「不知火！貴方という人は！」
「聞いてましたか？何普通に手を握っているんでしょうか」
さりげなく顔を近づけられ、遠い目をする。
「新選組の屯所に奇襲をかけるとはいい度胸じゃねぇか！今すぐ叩き斬ってやるぜ」
「土方君、少し落ち着きなさい」
「山南さん！邪魔だ」
「そうそう、まとめで斬っちゃいましょうよ」
「総司！お前は！」
平和を好み争いを望まないと思っても周りが許してくれない。
彼等は鬼の一族であり、人間を忌み嫌う種族。
しかも討幕派に協力している為天敵でもあるので新選組とは天敵だった。
にも拘らず頻繁に堂々と敵の根城に押しかけてくるのだ。
「屯所を血で染めないで欲しいのですが…」
深いため息をつきながらも既に双方の争いは始まってしまっていた。
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作者名：ししゃも | 作成日時：2021年11月26日 12時
