【刀剣乱舞】薄桜紀伝～放課後の舞姫【薄桜鬼】 (ページ7)

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松平家の女傑と謡われる照は渋々納得しながらも邸の縁側で桜を見上げていた。

「義姉上」

「どうしてなのかしら。何故Aが戦場に駆り出されるのかしら」

辛そうな表情で桜の木を見上げる。

「照さん…」

「あら？貴方は」

「和泉守兼定だ」

控えめに話しかけた男に照は振り向く。

「きゃっきゃっ！」

「あら、彼が気に入ったの」

「だー！」

手を差し出すAを預ける。

「貴女は刀剣と申しましたね」

「ああ…」

「私は貴方が憎らしいわ。恐らく貴方が奉納されていたからこそ彼等はこの子を選んだ」

照の言葉が胸に突き刺さった。

「審神者の任を受けなければ松田家は取り潰しになるでしょう。それだけでなく、貴方を取り上げるとまで言ってきました」

「なっ！」

「その時のAがどんな顔をしていたか解りますか…貴女はこの子の守り刀。出産時にも傍に置かれていたのです。引き離すのは惨い事」

両親の形見でもある大切な刀であるが、藤咲家の末裔が代々大切にして来た刀でもある。
無理矢理取り上げるのはあまりにも惨いのだ。

「貴方はこの子を戦場に誘った。その罪は重いでしょう。ですから何があっても守りなさい…違えることは許しません」

「ああ、約束する」

桜が舞う。
ヒラヒラと花弁が風に乗って。

小さな審神者の誕生を祝う様に桜の花びらが美しく舞っているようだった。