ハイグロフィリア ／ tn ページ5
その日のトントンは、過去一と言える程に疲れていた。三徹目で回らない頭では自身の言動を制御することすらできなかったのである。彼女の項を伝う汗に目を奪われ、自然と口が開いてしまう。
｢……美味そうなうなじやな。｣
ぽつり、小さく呟かれた言葉はAの耳にしっかりと届いてしまった。テレビを観ていた彼女は驚いたように顔を此方に向け、ぱちぱちと瞬きを繰り返す。暫くの間そのままであった彼女に、トントンはようやく自身のした事に気が付く。
｢…もしかして、口に出とった、？｣
｢……そりゃもう、はっきりと。｣
恐る恐る問い掛けると、彼女はこくり、大きく頷いた。……嗚呼、やってしまった。絶対引かれてもうた。疲労からぼんやりとしていた思考が、徐々にはっきりとしていく。
どう言い訳をしようか。回らない頭を必死に回転させていると、彼女が控えめに此方を見つめ、問いかける。
｢……食べる？うなじ、｣
｢………は？｣とつい、低い声が出てしまった。彼女はびく、と肩を揺らすと即座にごめん、と小さく呟いた。怒らせたと思っているのか、申し訳なさそうに微笑んでいる。
｢お、お風呂！入ってくるね、｣
｢汗かいたし、｣と言いながら急いで立ち上がるA。止めるつもりは無かったが、疲れきった自身の体は本当に素直だった。足早に風呂場へと向かおうとした彼女の腕を掴むと、此方に引き寄せ背後から抱きしめる。
汗の伝う項にちゅ、と軽く口付けると、ぴくり、彼女の体が小さく揺れる。恥ずかしがっているのか、徐々に皮膚の赤みが増していく。そんな姿が可愛くて、愛おしくて。我慢何てできる訳がない。数度項に口付けた後、なぞるように舌先を滑らせると｢んっ、｣と我慢するような、甘い声が部屋に響く。
舌を滑らせる度に頭に響く彼女の甘い声。口の中に広がる、甘くしょっぱい彼女の味。此方を見つめる潤んだ瞳。ぐらり、理性が揺れる感覚。
｢風呂、一緒に入ろか。｣
トントンはギラギラとした、獣のような視線を彼女へと向ける。口角を吊り上げ、楽しげに双眸を細めた。
さぁ、楽しい夜の始まりや。
─
ハイグロフィリア：唾、汗、経血、唾液等、分泌液そのものに対して性的興奮を得る嗜好。体液全般に対する異常性癖。
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平凡な人(プロフ) - うん。凄い。性癖にドストライクで刺さりました!更新楽しみにしています！ (2022年2月3日 20時) (
レス) @page9 id: 244f5e227a (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - めちゃくちゃ好みです！！毎回更新楽しみにしてます♡ (2022年1月26日 10時) (レス) @page22 id: 765b91b6bf (このIDを非表示/違反報告)
りんごうまい - ところどころ性癖に刺さった (2021年10月21日 23時) (レス) @page20 id: ef60100ca2 (このIDを非表示/違反報告)
たらい(プロフ) - ど趣味でえぐいっすふファンになりやした (2021年8月1日 0時) (レス) id: 0b993ff198 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - 好きです!! (2021年6月13日 14時) (レス) id: f606088b79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悲哀 | 作成日時：2021年5月28日 19時
