オキュロフィリア ／ gr ページ4
この世で最も美しいものは人間の眼球だと、気付いてしまったのはいつだったか。初めは美しいとしか感じなかった筈が、気が付けば自身のものにしたい、という強い欲に駆られるようになっていた。
｢ッ、やっ、離して！グルッペン！｣
彼女が暴れる度、ギシギシとスプリングの軋む音が部屋に響き渡る。彼女は鋭く此方を睨み付け、どうにか俺から逃れようと手足をばたつかせている。しかし、男と女では力の差は歴然である。彼女はいつまで経っても俺の手に拘束された自身の手を解放することができないままでいた。
｢……突然、何でこんなこと、｣
敵意を剥き出しにしていた瞳が、徐々に恐怖を映し出していく。涙の膜が張られた瞳が照明に照らされ、きらきらと輝いている。
嗚呼、欲しい。その眼球が。舐めてみたい。色々な光を当てて輝く様を見てみたい。宝石のように飾ってみたい。
安心させるように、怯える彼女の頬を優しく撫でる。びくり、肩を揺らした彼女の揺れる瞳が、俺の姿を映し出す。口角を吊り上げ、楽しげに微笑むその姿は、自分でも恐ろしく感じてしまう。
｢…御前の瞳は、この世で一番美しいんだ。｣
俺の言葉に、彼女は｢ひっ、｣と小さく声を漏らす。俺にも人の心はある。彼女の助けを求めるような表情に心を痛めるが、仕方の無いことなのだ。美しいものを自分のものにしたいと思うのは普通だろう？
｢大丈夫、痛くはしない。眠っている内に全て終わらせてやる。｣
｢だから、安心して眠れ。｣
一瞬にして表情を真っ青に変えた彼女は、再び足掻くように体を動かし始める。手荒な真似はしたくはなかったが、仕方無い。
ポケットから小さな白い錠剤を取り出すと、自身の口に投げ入れる。数秒口内で転がすと、独特の苦味に顔を顰める。そんな俺を見て困惑した表情を浮かべる彼女の不意をつき、噛み付くように口付ける。
｢ん！？…ん、ぁ、やめ、｣
舌にて無理矢理口を開かせると、溶けて液体となった薬を彼女の口内へと流し込む。少しずつ舌伝いに送り込んでやるとこくり、飲み込んだ音が耳に入る。ゆっくりと顔を離すと、彼女は蕩けた表情で此方を見詰めていた。が、すぐに瞳を閉じ、小さく寝息を立て始めた。
｢…おやすみ、A。｣
心配せずとも、御前の眼だけでなく御前自身も愛してやる。だから、
｢こんな狂った俺を許してくれ。｣
自身に向けた嘲笑を零し、彼は静かに部屋を後にした。
─
オキュロフィリア：眼球性愛。眼や瞼に対する性的嗜好。
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平凡な人(プロフ) - うん。凄い。性癖にドストライクで刺さりました!更新楽しみにしています！ (2022年2月3日 20時) (
レス) @page9 id: 244f5e227a (このIDを非表示/違反報告)
空白(プロフ) - めちゃくちゃ好みです！！毎回更新楽しみにしてます♡ (2022年1月26日 10時) (レス) @page22 id: 765b91b6bf (このIDを非表示/違反報告)
りんごうまい - ところどころ性癖に刺さった (2021年10月21日 23時) (レス) @page20 id: ef60100ca2 (このIDを非表示/違反報告)
たらい(プロフ) - ど趣味でえぐいっすふファンになりやした (2021年8月1日 0時) (レス) id: 0b993ff198 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - 好きです!! (2021年6月13日 14時) (レス) id: f606088b79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悲哀 | 作成日時：2021年5月28日 19時
