霧に咲くは硝子の花

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親睦会が終わり、高橋、神宮寺とタクシーを相乗りする。

親睦会中、一度も開かなかったスマホを見ると彼からの連絡が何件か入っていた。

帰りが遅いのなら迎えにいくから、
帰る時間を教えて、
そんな内容のがほとんどだった。



「玄樹、海人を先に送るね」


「うん、いいよ」



まだ未成年の高橋を早く帰してあげたいのは、岩橋も同じだった。

高橋を家に送り届けると、2人になった空間で、神宮寺が問う。




「今日は飲みたい気分だった？」


「んー？…ちょっとだけ、ね」


「じゃあ、どこか入る？一杯だけ、飲んでからかえろっか？」






ふと、彼を思う。

早く帰った方がいいのは分かっているのに。







「…うん」




帰るときに連絡しよう、とまだ連絡していないことを言い訳にして、そのままバーに向かうタクシーに身を任せた。








「さっきは飲んじゃダメって言ったのに」




乾杯してからそっと呟くと、みんなの前ではねと神宮寺が微笑む。



「俺の前ではいいよ」



スタッフさんにみっともない姿見せたくないでしょと付け加えて、グラスを傾けた。



それから、これからの仕事のことやなんてないことを話していると、1時間は経っていた。
そろそろ帰らなきゃなと思いながらも、アルコールを流し込んだ体はいうことを聞かなくなっている。


「アルコールきちゃった？」


「……ごめ、」


「いいよ、分かってて飲ませちゃったし」



重いまぶたを落とすまいと気を張るも、神宮寺が肩を貸してくれるとそれに甘えたくなるのも事実で。




「…飲みたくなるくらい、何か溜めてたものがあるんだよね」





*



※書いた時期の関係で、海人くんが未成年という設定になっています。

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