記憶桜【松田陣平】 (ページ43)

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「テメェ！！電話出ろや、クソが！！」

爆弾を目の前に、とりあえず目暮警部に電話をと考えていると、ものすごい剣幕で怒鳴る声に、私は思わず携帯を落とす。

『ま、松田くん？！』

「よかった、A…！！無事で…。」

『諸伏さんまで、どうして？！』

「クソッ！！説明は後だ。状況は？」

『ビルに入ったら爆弾が仕掛けられていた。爆弾犯はさっき逃走したけどまだ近くにいるはず。諸伏さん、』

「こっちは大丈夫。一足先に駆けつけたオレの仲間が追っている。オレも援護にまわるが、そっちは二人で大丈夫？」

「あぁ。来る前に周辺の住民は避難させた。犯人の方はお前とゼロに任せる。」

『ゼロ…？』

「わかった。」

目で合図を交わし、諸伏さんはさっき逃げた犯人を追って外に出る。若干イライラした雰囲気を隠せていない彼が私に近づき隣に座る。

『……応援、呼ぶつもりだった。』

「どうだか。言い訳は後でたっぷり聞かせてもらう。で、あと何分だ。」

『四分切ってる。この爆弾の構造…。アイツの正体はプラーミャね。』

「あぁ。おそらく。」

『狙いは私…。ごめんなさい、巻き込んでしまって。』

「ゴチャゴチャうるせぇ。さっさと始めるぞ。」

工具箱を取り出し、彼が解体作業を始める。
私はあたりを見渡し、近くにあったボロボロのポットを手に取り、片方の液体が入った蓋を開いた。

「おま、何してんだよ！！」

『万が一爆発しちゃったらまたこの爆弾の謎が闇の中に葬られちゃう！スペアよ。もし、間に合いそうになければ、あなたがこれを持って外に出て。』

「は？何バカなこと言ってんだよ。」

『本気よ。これ以上、犠牲者を出したくない。あなたに、死んでほしくない。』

私が液体を取り分けている間も、彼は手を止めない。
私の話を黙って聞いていた彼は、少しだけため息をついた。

「相当信用されてねぇみたいだな。安心しろ。そんなスペア、残り一分で無駄にしてやるよ。」

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