記憶桜【松田陣平】 (ページ27)

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『でも、ここに来て私がどれだけ調べても出てこなかった情報を手に入れたってことは…、情報源は公安？』

写真を松田くんに返し、病院食を食べながら彼にそう尋ねると、眉毛がピクリと動く。

この人、あんまり嘘がつけないのかしら。

『……ってことは、まさか諸伏さんからとか？』

「ハァ？！」

驚きと不機嫌な声が合わさった声で彼はその場に立ち上がる。

図星か…なんて思っていたら

「何で景の旦那のこと知ってんだよ？！」

『え？！いや、諸伏さんは交番勤務のときの先輩だから…。』

「…！！」

『今確か本庁の公安勤めだよね。諸伏さんも松田くんも一期上ってことは同期だから、もしかしてって思ったんだけど…。』

「情報源は諸伏じゃねぇ。それよりも、なんだ？諸伏とは警察学校卒業以来の仲ってことか？」

『実際は卒業してから半年だけど…。連絡取れなくなったから多分公安に配属されたんだろうなーって。案の定、私が本庁に配属になってたまに顔を合わせるようになったしね。』

わたしの説明を終始気に食わなさそうな顔で聞く松田くん。

あれ、さっきまでの優しさと穏やかな空気はどこへ？

『景の旦那なんてあだ名で呼んでいるってことは、仲良かったの？ねぇ、諸伏さんってどんな学生だったの？』

「何でそんなこと聞くんだよ。」

『だって、諸伏さんって頭も良くて、優しくて、それでもって何でもできて、すごい人だったから。昔から完璧な人だったのかなぁって思って。』

「……」

少しでも空気を和らげようと同期の話を持ちかけたのに、先程までの険悪な空気がもっと悪くなってきた。

え、諸伏さんの話、地雷なの？
でもあだ名で呼ぶってことは仲良しだったんだよね？
わからない、今彼が何を考えているのか…

『それよりも松田くん。明日から勤務なんでしょ。もう遅いからそろそろ…、』

「いや、俺今日ここ泊まってくから。」

『……？』

え？

今何とおっしゃいましたか？