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02 sideZ ページ2






「おっ、やっと来たね〜。」



ベルを鳴らすと、学生の頃から変わらないニコニコと笑顔を向ける萩原が僕を出迎える。



『悪かったな。あ、これ。どうせ僕の分ないと思ったから。』

「さっすが、降谷ちゃ〜ん!ちゃんと降谷ちゃんの分残しておこうって話したのに、みんな言うこと聞かないんだよ〜。」

「うるせー、萩。テメェが一番飲んでんじゃねーか。」



リビングの方から、松田の声が聞こえて、同時にヒロと班長の笑い声が響き渡る。

公安の厄介な事件が片付いたこともあったからか、変わらない同期の様子に僕はいつの間にか頬が緩んでいた。



『いつも悪いな。萩原の家借りて。』

「全然いいってことよ。諸伏ちゃんと降谷ちゃんの事情はよーくわかってるから。」



「ね?」とウインクをする萩原に促され、いつものように部屋へ上がる。

リビングへと足を踏み入れると、

顔を赤くして大きな口を開けて笑う班長と、

職場では決して見ることはできない子どもみたいなフニャフニャな笑顔を見せるヒロ、

そして、もうここに住んでいるのかと思うくらい馴染んだ松田が小さなテーブルを囲んでいた。



「ほらほら、降谷ちゃん来たよ!じんぺーちゃん詰めて詰めて!」



両手に缶ビールとスルメを握りしめる松田に萩原がヒロの方に行けと肩を押すと、しかめっ面をする松田。

萩原が作ってくれたスペースに腰を下ろすと、「公安さんは大忙しだねー」と松田がこぼす。



『そう言う松田こそ、爆発物処理班での噂は聞いているよ。』

「あ?それはありがたいねぇ。」

『若いくせに隊長並みの態度の奴がやって来たってな。』

「けっ。噂はそっちかよ。」

『冗談(笑)活躍しているみたいじゃないか。』



「まぁ、ぼちぼちだけどよ」と残り一つの未開封だった缶ビールに松田は手を伸ばし、俺に差し出す。

「ありがとな」と受け取った僕は、少し冷たさが消えたビールを開けた。



『……彼女の手掛かりは、見つかったか?』



飲み口から吹き出した泡を掬うように口をつけた僕は、
班長と萩原を眺める松田にそう尋ねる。



「いや。」



俺の方を振り返ることなく、松田はそう答えた。



警察学校を卒業して、もうすぐ三年。



警察官としての職務を全うする一方、
松田も僕も、大切な人を探し続けている。

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作者名:舞子 | 作成日時:2022年11月8日 22時

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