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79.好きにすれば ページ30

どうしよう…

このままじゃどこか分からないけれど連れていかれてしまう。

そう考えていると、宇髄さんの口から意外な人物の名前が告げられる。

「よぉ!時透じゃねーか!」

無一郎くん!?

首を捻って門の外側に視線を向けると、そこには無一郎くんが立っていた。

「何してるの?」

久しぶりに見る無一郎くんは状況が理解できていないようで瞬きを繰り返している。

「時透!お前の嫁、借りてくぞ!!」

あれから、無一郎くんに会えなくて寂しくて。
いつ会えるのかと心待ちにしていた私だけれど、まさかのタイミングなので感動どころではない。

「無一郎くん!!」

助けて!

そんな思いを込めて、じぃっとこちらを見つめる彼の名前を呼ぶ。
暫く考えて黙り込んだ後、彼がようやく一言発した。

「Aの好きにすれば」
「へっ?」
「僕、中で待ってるから」

そう言って、何事もないように私たちを通り越して屋敷の中に入っていく。

「えぇっ!?無一郎くん!?」
「か、霞柱さま!?」

え、待って?どゆこと!?
好きにすればと言われても身動き取れないから困ってるんですけど!!

なんて私の心の叫びが先に屋敷へ入って行った彼に届くことはない。

「んじゃ、旦那の許可も取れたし行くか!」

鼻歌が聞こえそうな程に上機嫌な宇髄さんに突っ込みを入れる。

「いや!取れてませんから!!私は嫌です!行きたくありません!!」

「カッ、カナヲ!」

いよいよ、終わりだと思ったのか、アオイさんがカナヲに手を伸ばす。
カナヲは冷や汗をかいて何かと葛藤しているようだった。

「カナヲ!」
「カナヲさまーっ!」
「カナヲ!お願い!!」

なほちゃんも私も後がないと感じてカナヲの名前を呼ぶ。

葛藤の結果なのか、カナヲは私たちにの思いに答えるようにがしっと私とアオイさんの手を掴んだ。

「カナヲ…」とアオイさんが目元に涙を浮かべながら呟く。

「地味に引っ張るんじゃねぇよ。お前にはさっき指令が来てるだろうが」

宇髄さんの言葉にもめげず、きゅっと目を瞑って、眉間にシワを寄せ、歯をくいしばって。
手を離すまいと引っ張ってくれている。

「何とか言えっての!!地味な奴だな!!」

焦れた宇髄さんが叫べば、声にびっくりしたすみちゃん、きよちゃんが「きゃー!!」と悲鳴をあげる。


それから「とっ、突撃ー!!」と2人がかりで宇髄さんに飛び付いた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:月見 | 作成日時:2020年10月11日 5時

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