記憶を求めて 2【時透無一郎】 (ページ22)

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71.久しぶりの散歩ページ22

「A、大丈夫か？」
「うん。大丈夫」

数日もすれば徐々に体が動くようになってきた。

それでもまだ力は入らないので、一人で起き上がったり、重いものを持ったり、歩いたりは出来ない。

けれど人の手を借りれば起きることが出来るようになったので、薬は点滴から飲み薬に変わった。

昼間に眠る時間も徐々に短くなってきたし、記憶の方も少しずつだけれど戻ってきている。

煉獄さんや蜜璃ちゃん、宇髄さん、不死川さんのことも思い出した。

今日は単独任務から戻ってきた炭治郎くんの好意で蝶屋敷の庭を散歩することになった。

背中に私をおぶってどんどん走る炭治郎くん。

「揺れない？痛くない？」と聞かれるので、逆に「重くない？」と聞けば、「全然！いい鍛練になるよ！」と返された。

「おい！炭治郎！いい鍛練とは女の子に失礼だろ！！」

と善逸くんが突っ込みを入れたあと「そこ代われー！次は僕がAちゃんをおぶるんだー！！」と喧嘩が始まった。

「権八郎！紋逸！遅ぇぞー！！」

先頭を走る伊之助くんが、ぷんぷん怒っている。

「待て！伊之助！どこまで行くんだ？そっちは裏山だろ」

炭治郎くんが呼び掛ければ、伊之助くんが跳び跳ねる。

「黙って着いてきやがれ！」

「あぁ、あればダメだ。もう止められない…」

善逸くんの半ば諦めたような声。

この感じ、懐かしい。
この3人といると楽しいし落ち着く。

気が付くと自然と笑顔になっていた。